2003年12月12日(金)「しんぶん赤旗」
十日にアナン国連事務総長が提出したイラクに関する報告書は、米軍主導によるイラクでの占領政策がいかに問題解決を阻害しているかを国連の最高責任者自身が告発したものです。それはまた、日本政府の自衛隊派兵の正当性のなさを浮き彫りにしています。
同報告が「占領下で国連は政治活動を行うことはできない」と強調しているなかの日本政府の自衛隊派兵決定は、日本政府が国際社会よりも占領者である米国の意向を意識していることを露呈しています。
八月のバグダッド国連現地本部爆破など一連の襲撃を受け、国連イラク派遣団はキプロスとヨルダンの周辺国を拠点に活動することになり、イラクへの帰還について「時間表は示せない」(アナン事務総長)状況です。
イラク復興への国連の関与強化の声は、国際的により高まり、米国内でさえ主流の意見となる気配をみせています。この国連のイラク復帰を妨害しているのが米英による戦争と占領の継続です。
一日、アナン事務総長の呼びかけで、安保理事国の一部やイラク周辺国など十七カ国で構成するイラク復興支援の十七カ国諮問グループが発足しました。国連が復興に積極的にかかわる姿勢を示したものでしたが、国連自体がイラク国内で活動できないハンディを背負い、同グループの活動の実効性は疑問視されています。(ワシントンで遠藤誠二)