2003年12月13日(土)「しんぶん赤旗」
【ワシントン11日浜谷浩司】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(本部ニューヨーク)は十一日、米英軍がイラクでクラスター(集束)爆弾を使用したことにより、千人を超える民間人を無用に死傷させたとして、こうした攻撃を非難する報告書を発表しました。
それによると、三月から四月にかけて、米軍は計一万七百八十二発、英軍は計二千百七十発のクラスター爆弾を使用。まき散らされた子爆弾は二百万発に上りました。
クラスター爆弾は、さく裂の際に爆弾の内部に抱えた多数の子爆弾をまき散らすもの。被害が広範囲に及ぶとともに、不発弾の爆発が続き、子どもへの被害も大きいことなどから、残虐兵器として禁止を求める声が、国際的に強まっています。
同団体は四月末−六月初めに現地調査を実施。イラク南部にある病院では、収容された民間人犠牲者の90%がクラスター爆弾によるものだった、との病院長の証言を挙げています。民間人犠牲は、住宅密集地域でのクラスター爆弾の使用が最も大きいと指摘。さらに副次的な被害や小火器による犠牲は調査していないことから、全体の民間人犠牲者は「もっと大きい」と指摘しています。
報告はさらに、旧フセイン政権幹部を狙ったとする「精密」爆撃による攻撃について、衛星電話の傍受で標的を定めることから、「半径百メートル」の範囲までしか絞り込めず、住宅地域ではまったく不適切だと指摘。情報が不正確で、軍事的にも「まったくの失敗」で、民間人に被害を出しただけだとしています。