2003年12月13日(土)「しんぶん赤旗」
【ワシントン11日浜谷浩司】ブッシュ米大統領は十一日、イラク復興に参加する連合諸国とは、「自由なイラクのために生命をかける」国々のことだと述べ、イラク戦争に反対した国々の企業を復興事業から排除する米政府の決定を正当化しました。イラク「利権」を独占する米国のあからさまな姿勢にたいし国際的な批判と反発が強まっています。
ブッシュ大統領は同日、閣議終了後の会見で見解を求められ、「だれに対してもはっきりさせておきたい」と前置き。米国と「広範な同盟」諸国から派遣された部隊は、「自由なイラクのために生命をかけている」と強調しました。
復興事業への米国の「出費」は、「米軍と他の国々の軍隊が、生命を危険にさらしていることの反映だ」と、部隊派遣への見返りとの考えを示し、「まったく簡単な話だ」と述べました。
ただ、事業参加を認めた国々の中には、米政権に協調しながらも、部隊を派遣していない国もあることから、大統領発言は「簡単でない」との見方もあります。
同大統領は、事業から締め出したフランス、ドイツ、ロシアの各国については、対イラク債務の帳消しに応じるかを、「貢献」の基準にする構えも示しました。
この問題では、フランス、ロシア、ドイツ、欧州連合(EU)、カナダが対米批判を表明したのに続いて、国連のアナン事務総長も批判を明らかにしました。
アナン事務総長は十一日、ベルリンでシュレーダー独首相と会談後、米政府の決定は「不幸」だと指摘。イラクの安定化に向けて国際合意が求められる中で、「分裂を引き起こす決定はすべきでない」と述べました。