日本共産党

2003年12月16日(火)「しんぶん赤旗」

民間人殺傷、米占領軍支援そのもの

イラク派兵 穀田議員が追及


 日本共産党の穀田恵二議員は十五日の衆院イラク特別委員会で、「自衛隊はイラクに戦争に行くのではない」と繰り返す小泉純一郎首相を追及。自衛隊の派兵が、乱暴な米占領軍の掃討作戦を支援する、まさに戦争支援そのものであることを明らかにしました。

米占領軍による掃討作戦の被害

 穀田氏の追及に小泉首相は、派兵される自衛隊が、物資や兵員の輸送を行い、米軍支援することを認めました。

 その米占領軍は、イラクで何をやっているのか―。

 穀田氏は、米占領軍が展開している抵抗勢力の掃討作戦「アイアンハンマー作戦」について、米紙ワシントン・ポスト(十一月二十二日付)の報道を示しました。同紙によると、その航空攻撃には「低空飛行しながら集中砲火を浴びせるAC130、戦車の装甲も貫く機関砲を搭載したA10攻撃機、最大一トンにもなる大型爆弾、精密誘導ミサイルなどが含まれ」ています。

 こうした米占領軍の掃討作戦は住民に著しい被害をもたらしています。

 夜中に物音がして犬がほえ、住民が泥棒だと思って空に二発撃ったことをきっかけに、「米軍武装ヘリコプターが一軒の農家に六発のミサイルを撃ち込み、農民二人が死亡、子ども二人を含む三人が負傷」という悲惨な事態も起きています(『論座』〇四年一月号「現地報告 イラク 泥沼の構造」)。

 国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」の報告書は、米軍が旧フセイン政権幹部を狙って行った空爆が、結果として民間人だけを殺傷した例を告発しています(「毎日」十四日付)。

 穀田氏は「戦争をおこなうアメリカへの支援だ」と批判しました。

国連事務総長も米軍撤退を要求

 小泉首相は「米軍撤退しろなんて、国際社会でいっているなんて初めて聞いた」と、国際社会がどこも主張していないかのように強弁しました。これは事実をねじまげるものです。

 穀田氏が紹介したアナン国連事務総長が国連安全保障理事会に提出した報告書は、明白です。

 アナン氏は、同報告書で「外国によるイラク占領が短期でなければならない」「なによりも必要なことは、高まる治安問題は、軍事的手段だけでは解決できないという認識にたって行動することである。必要なのは政治的解決である」とのべています。

 動かぬ事実を突きつけた穀田氏に対し、小泉首相は「国連はアメリカは撤退しろとはいっていない」と根拠を示さず繰り返すことしかできませんでした。

「人道復興」でも占領軍の一部

 自衛隊が「人道復興支援」の旗を掲げたとしても、派兵された地域に混乱と不安定をもたらすことは避けられません。

 穀田氏は、小泉首相も会見したイラク南部の民主化指導者リカービ氏が「今の状況下で自衛隊を送れば、人道支援という目的を掲げても、占領軍の一部になるという本質を変えることはできない」とのべていることを示しました。

 いくら小泉首相が「人道復興支援」を強調しても、自衛隊の派兵が「日本も連合軍に参加した」(マイヤーズ米統合参謀本部議長、九日)ことになり、占領軍支援には変わりありません。


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