日本共産党

2003年12月16日(火)「しんぶん赤旗」

イラク「非戦闘地域」の設定

衆院特別委で赤嶺議員追及 政府は根拠示せず


 日本共産党の赤嶺政賢議員は十五日の衆院イラク特別委員会で、九日に閣議決定したイラク自衛隊派兵の「基本計画」について追及しました。

 赤嶺氏は「基本計画」がバグダッドなどイラク国内の飛行場や、情報収集、連絡調整をおこなう地域を自衛隊の活動区域の範囲に指定していることを指摘。これらが「非戦闘地域」に設定されるのかと質問。石破茂防衛庁長官は「基本的にそういう考えにもとづいている」と認めました。

 赤嶺氏は「かなり広範囲な地域だ。バグダッド空港では武力攻撃が繰り返されているが、そういう地域はどういう状況になったら『非戦闘地域』に設定されるのか」と追及。石破長官は「確かに攻撃はあるが、それが相当に頻度が落ちる、極端に減ったということになれば『非戦闘地域』になる」とのべただけで、「非戦闘地域」設定の具体的な根拠を示しませんでした。

 さらに赤嶺氏は、政府の専門調査団の報告が陸上自衛隊の派兵先とされるイラク南東部の情勢を「襲撃等の可能性は存在」「フセイン政権残党は南東部に浸透しようとしているとの見方もある」と明記していることを指摘。「こういう地域も『非戦闘地域』になるのか」と追及しました。

 石破長官は、「襲撃」の可能性があることを認めながら、「襲撃」があっても、「国または国に準ずる組織による組織的、計画的な武力の行使」でなければ「戦闘行為」ではないと強弁。「戦闘行為」にあたる「襲撃」について「(フセイン政権残党勢力が)イラクの主権政府を新たにうちたてようということであるならば、国または国に準ずる者にあたる可能性がある」としながら、「いま起こっている事象がそのような評価といえば、そうではない」とのべました。

 赤嶺氏は、「『非戦闘地域』が広く想定され、『戦闘行為』の定義も弾力をもたされている。これでは憲法九条も守れない」と批判しました。

政府の答弁から

「戦闘地域はある」

「民間殺傷罰せず」

 衆院イラク特別委員会が十五日開かれ、自衛隊のイラク派兵問題で論戦がかわされました。

 このなかで小泉純一郎首相は、イラク情勢について「完全に戦闘が終結したとはいえない」「イラクに戦闘地域はある」との認識を示しました。

 しかし、「現時点でどこが戦闘地域なのか特定するのは難しい」とのべ、基本計画で挙げられているバグダッド国際空港やイラク南東部などへの評価を避けました。

 首相が「占領軍の武器・弾薬輸送は行わない」と明言したことを担保するための荷物検査について石破茂防衛庁長官は、「一つひとつ開けてみて調べろといっていたら、(米軍などとの)信頼関係は成り立たない」と否定しました。

 石破長官は、イラクに派兵された自衛隊員が誤って民間人を殺傷しても、「(防衛庁が策定する)部隊行動基準(ROE=交戦規則)に従って行動した隊員の責任を問うてはならない」との考えを示しました。

 石破長官はすでに六月の衆院イラク特別委員会で、「接近するな」という警告に従わなかった場合、相手が攻撃を仕掛ける前に攻撃を行うという内容をROEに盛り込む考えを示しています。

 陸上自衛隊の派兵先とされるイラク南東部で、米英軍が湾岸戦争やイラク戦争で使用したとされる劣化ウラン弾による放射能汚染被害が懸念されていることについて、石破長官は「米軍はイラク戦争中に劣化ウラン弾を保有しているとしていたが、使用したとは認めていない」としながら、「隊員に不安が生じないよう対策をとっていきたい」と答えました。

 防衛庁の西川徹矢運用局長は、イラクに派兵する自衛隊部隊の生物化学兵器対処の装備ついて問われ、「詳細の答えは差し控える」としながら、「生物化学兵器の検知、あるいは防護に必要な装備の携行については、検討しているところだ」とのべました。


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