2003年12月16日(火)「しんぶん赤旗」
日本共産党の佐々木憲昭政策委員長代理は、十四日放送のフジテレビ系「報道2001」、NHK日曜討論にそれぞれ出席し、イラクへの自衛隊派兵問題、年金制度改革について、与野党の政策責任者と討論しました。
報道2001で、佐々木氏は、イラクへの自衛隊派兵について、「米英軍の無法な戦争と不法な占領に軍隊をもって加担するものだ」と批判。小泉純一郎首相が、憲法前文を引用してイラク派兵を正当化したことについて、「憲法前文は過去の侵略戦争の反省の上にたって、国際ルールを無視した勝手な行動をいましめたもの。それは、戦争をしない、軍隊をもたないという憲法九条と一体のものだ」と指摘。首相の説明は「憲法を破壊する行為を、憲法を使って合理化するという、まったく厚顔無恥なやりかただ」とのべました。
自民党の額賀福志郎政調会長は「イラク人によるイラク政府をつくるため、世界の人々と協力して、イラク復興をやる」とイラク派兵を合理化。民主党の枝野幸男政調会長は、「小泉首相の説明は不十分だ」とのべつつ、「(自衛隊を)出すべきか出すべきでないかといわれれば、出すべきだ」との立場を表明しました。
NHK日曜討論で、額賀氏が「テロ集団にイラクの国家運営の主導権を与えていいのか」とのべたのにたいし、佐々木氏は「テロをなくすのは当然だが、軍事力で抑えつけるやり方は、現地の住民の反発を招きテロがそれに乗ずる形になっている」とのべ、これが泥沼化の原因と指摘。「国連中心のやり方に切りかえ、イラク国民に主権を渡し国民自身がテロを排除していく。この方向を国際的に援助するというのが、テロとたたかう一番効果的な方法だ」と強調しました。
イラク派兵の自衛隊員の安全問題について、佐々木氏は、イラクの人々は日本の企業には来てほしいが軍隊はいらないといっていること、「重武装した自衛隊が行くと、占領軍の一部とみなされて、攻撃の対象になると、専門家もいっている」ことを紹介。「日本がやるべきことは、軍隊を送ることではなく、外交的、政治的手段によって、国連中心の新しい枠組みをつくることだ」と力説しました。
公明党の北側一雄政調会長は、「(自衛隊員への)テロの危険が全くないとはいえない」と発言。自衛隊がイラク人を殺傷する可能性について「そういうことも想定しなければならない」と容認しました。
NHK日曜討論ではイラク問題に続いて、年金制度改革が議論になりました。与党側は「給付は(現役世代の平均的収入の)50%以上を確保している。保険料は(年収の)18%前半で議論している」(額賀氏)と、給付引き下げ、保険料引き上げを当然視しました。
佐々木氏は「この議論は、迷走状態になっている。いまの(与党)案を見ても、両方(保険料、給付)とも最悪だ。国民に被害を与えないようにどうするかを考えるべきだ」と批判しました。厚生年金の保険料を18%にすれば、現行の13・58%(労使折半)に比べて、三割の負担増になると指摘しました。
佐々木氏は、当面必要な改革案として、道路特定財源の一般財源化などで基礎年金の国庫負担を法律どおり来年度から二分の一に引き上げることや、巨額の積立金をきちんと活用することを提案。「総合的な抜本対策を考えないと、この(与党協議の)迷走状態は克服できない」とのべました。