2003年12月16日(火)「しんぶん赤旗」
イラクのフセイン元大統領が拘束されたことについて、アラブ諸国からは十四日、状況を注視するとともに、拘束をきっかけにイラク人への主権移譲を早めるよう促す声が相次ぎました。
現地からの報道によると、ヨルダン政府報道官は、「イラク国民の治安と政治状況の安定に関心を寄せている」「イラクの人々がみずからの意思にもとづき、将来を構築することを望んでいる」と述べました。
エジプトのマーヘル外相は、「拘束がイラク人によるイラク統治の推進につながることを希望する」と語りました。
シリアのハッサン情報相は、イラクの領土が保全され、イラク人がみずからの政府を選出することを希望すると述べました。
アラブ連盟のムーサ事務局長は、「旧政権やその指導者たちの運命を決めるのはイラクの人々である」と語りました。
ロイター通信が現地から伝えたところによると、イエメンの政治学者、サイード・シャベト氏は、「抵抗がサダム(フセイン元大統領)とつながっているとは思わない。(息子の)ウダイとクサイが死んだときと同じく抵抗は激化するだろう」と指摘。ベイルートの政治学者、ワリド・ムバラク氏は、「イラク占領に対する問題が残っている。(拘束が)それを解決するとは思わない」と強調しました。
バーレーンの政治学者、タキ・アルジーラ氏は、「米国がイラクから退去するよう求める圧力が強まる」と語りました。
一方、同国のセールスマンのフセイン・ジャファルさんは、「歓迎だが、イラク人が拘束すればよかった」と話しました。
シリア人学生のアブドゥル・ナセルさんは、「サダムは好きではないが、アラブ人として、米国人が彼をバグダッド市内を引き回すのを見たくはない」と憤慨。ヨルダン国会議員のアザム・フネイディ氏は、「悲しい知らせに決まっている。サダムは、中東での米国の戦略への抵抗のシンボルだった」と述べました。