2003年12月17日(水)「しんぶん赤旗」
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イラク派兵予定の陸上自衛隊の中心部隊がある北海道では、反対の行動の輪が広がっています。後志管内赤井川村では、日本共産党支部と村議がイラクへの自衛隊派兵反対の署名に取り組んだところ、あっという間に村民の一割を超えました。(北海道総局・富樫勝彦記者)
吉岡光雄党村議は、「自衛隊派兵にキッパリ反対し、国連中心の事態解決を訴えている党の行動が待たれている」と言います。
赤井川村は、約人口千三百人。日本海に面した余市町から雪道をバスで約三十分。峠を越えると開ける広大なカルデラの中にあります。稲作や畑作、花の栽培などの農業が盛んです。
吉岡村議が、共栄地区の竹下幸雄さん(七九)を訪ね、総選挙の報告後イラク署名をお願いすると、幸雄さんの後ろにいた妻・満子さん(76)は「イラク派遣は反対だね。小泉さん(首相)が無理に進めるから、吉岡さんが『派遣反対』と言って歩かないかなあって思ってたとき、ちょうど来てくれてよかったね」とニッコリ。「小泉さんになってから年金は落とされるし、日本がダメになっているよ」と言いました。
幸雄さんは戦争中、軍隊にいた忌まわしい経験を語り、「はっきり出せばみな反対するから、戦争に行くのではないとごまかしながらやっている。でも行ったら戦争だよ。人を殺すもんじゃない。ここで食い止めないとズルズルといってしまう。これは反対の声を上げ続けねばなんないね」。
満子さんは、別の部屋にいる家族も署名するよう呼んでくれました。
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同村で署名はいま、百四十三人分。人口の11%、有権者比で13%になっています。遠い集落は、往復三十キロも走ります。
始めたのは十一月下旬。吉岡さんは、党赤井川支部員で妻のカネコさん(59)などと相談し、「総選挙の結果は残念だったが、共産党はあくまでも戦争に反対してがんばっていることを行動で示そう」と署名に取り組むことにしました。
最初は、「しんぶん赤旗」読者に集金の際に頼みました。カネコさんは農協女性部長。会議や集まり、地域の漬物の会などでも訴えました。集落では、署名するのは勇気の要ること。でも「頼めば『戦争はいやだからね』と署名してくれました」とカネコさん。
吉岡宅を訪ねてきた男性は、最初「(イラクへ)行った方がいい」と言いました。「テロを無くしたい」と思ったからです。吉岡さんが武力や軍隊では解決しないことを話すと、その人はそっと署名をして帰りました。
相手から進んで「イラクに(自衛隊を)出すのはとんでもない」と書いてくれる人が多いと吉岡さん。「みな、結構心配している。意外なところで反対している人がいることにもビックリします。小泉首相が『派兵はやめた』となるまで世論を広げたい」と言いました。