2003年12月17日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 世界で二〇〇四年を「国際コメ年」としたとりくみが行われるのは、どんな背景があるのですか。(東京・一読者)
〈答え〉 「コメは命」をスローガンとした二〇〇四年「国際コメ年」のとりくみが、国連食糧農業機関(FAO)を中心に、世界ではじまっています。〇四年を「国際コメ年」とする宣言は、〇二年の国連総会で決議されました。一産品だけで国連の年が行われるのは初めてで、国連総会決議は、コメが「世界人口の半数以上の主食」であり、国連の開発目標達成のためにも「コメの果たす役割に世界中の関心を向ける必要性がある」と指摘しています。
FAOによれば、コメはアジアだけでも二十億人以上のエネルギー摂取の六〜七割を支え、アフリカでは最も急速に普及している食糧です。他方、コメの八割は低所得国の小規模農民が生産し、コメ中心の生産システムに十億人が携わっています。コメの生産性向上や条件整備は飢餓人口克服や農村の経済発展のためにも必須の課題です。
しかしコメ生産は、世界的に重大な制約に直面しています。人口増加を背景にコメ需要は二〇三〇年代には三割増加するとみられます。一九七〇〜八〇年代にコメは年2・5%増産され食糧事情を改善しましたが、九〇年代は年1・1%増と頭打ちになり、面積当たり収量は低下しました。資源の枯渇や、農薬多用などによる環境破壊、都市開発などとの土地・水の競合も生じています。コメ生産で重要な役割を担う女性は、信用や資金の困難など経済的・社会的な壁の中で生産向上の恩恵から取り残されています。世界的なコメ貿易の拡大も、低所得国の農民をむしろ圧迫しています。
国際コメ年は、こうしたコメ生産の危機を克服しようと四十四カ国が提案したもので、日本も提案国の一員です。しかし小泉内閣の「コメ政策」は、自由化を前提に、日本のコメの大半を支える小規模農家を切り捨てるなど、国際コメ年の精神とは正反対です。
(水)
〔2003・12・17(水)〕