2003年12月18日(木)「しんぶん赤旗」
【ワシントン16日遠藤誠二】国連安保理は十六日、イラク問題を協議する会合を開催。同会合で発言したアナン事務総長は、フセイン元大統領の拘束は「単に前政権没落の象徴となるだけでなく、イラク国民が自らの運命を決定するのを支援する重要な事業を新たに始める機会になる」と述べ、イラク国民が実際に主権を行使できるようにする課題は「緊急の課題だ」と指摘しました。
アナン事務総長は、暫定政府樹立の過程は「包括的で透明性を持つことが不可欠だ」と主張し、新国家建設にイラク社会のあらゆる層が参加し、どの層も排除されていないようにすべきだと強調しました。
そのうえで「国連はその役割を全面的に担う用意がある」と述べ、安保理決議一五一一は国連の活動強化の必要性を明記していると語りました。
アナン事務総長はその一方で、「安全上の懸念」から「現在、国連職員がイラク国内で仕事に従事することはほとんどできない」とも述べ、国連のイラクへの早期帰還は困難だと示唆。条件が整うまで、近隣諸国の国連施設から支援を強める考えを示し、イラク国民と「連合国」が国連に何を求めているか具体的に示すよう要求しました。
続いて発言したイラクのゼバリ暫定外相は、国連が三十五年間続いた「残忍な圧政」からイラクを救えなかったと批判し、「国連はイラク国内にいるべきだ」と述べ、同国内での活動再開を要請しました。その後、会合は非公式協議に入りました。
アナン事務総長は同日の記者会見で、復興事業の受注問題を含め、イラク再建をめぐっては国際社会の合意が必要だと主張しました。