2003年12月18日(木)「しんぶん赤旗」
重度の知的障害者が地域で暮らすための「グループホーム」への補助金(支援費)を厚生労働省が来年度予算で約二割削減すると打ち出していた問題で十七日、障害者団体などの激しい抗議にあった同省の高原弘海障害福祉課長が削減案の白紙撤回を表明しました。
厚労省が示していた削減案は、知的障害者が入居するグループホーム(定員四−七人)の運営事業者にたいする支援費のうち、重度障害者(区分一)について来年度から一人あたりの支給額を現在の月十一万九千三百八十円から九万五千八百八十円に減らすというもの。月約二万三千円切り下げです。五人のグループホームの場合、年百四十一万円もの削減になります。
四月にスタートした支援費制度は、当事者参加でサービスのあり方などを話し合う検討会を設けて議論を続けてきましたが、同削減案は知らされていませんでした。
日本障害者協議会など七団体は同日、厚労省と交渉し、同省前には二百五十人を超える障害者や施設職員が抗議行動に参加しました。説明会では、「いまでも運営は苦しい。年百万円も減れば、つぶれるホームが出る」「地域で生活できるようになり本当に喜んでいた。『施設から地域へ』という政府方針にも逆行する」などと訴え、削減案の撤回を要求しました。
高原課長は当初、需要増のため国庫補助の配分を“広く薄く”したいと同省の考えを説明し、自治体や関係者の意見を聞いているところとのべていました。しかし、「薄くなれば地域生活は困難」との猛反発にあい、同日のうちに「この案については白紙撤回する」とのべました。