日本共産党

2003年12月18日(木)「しんぶん赤旗」

劣化ウラン弾を米軍は日本でも使用したとは?


 〈問い〉 イラク戦争で使用された劣化ウラン弾の影響にかかわって、米軍は日本でも使用したことがあると聞きました。どんなことがあったのですか。(長野・一読者)

 〈答え〉 劣化ウランとは、核兵器などの材料となるウラン235(天然ウラン中に0・7%存在)を抽出・濃縮したあとに残るウランのことです。きわめて比重が大きいなど装甲を貫通する徹甲弾の素材となる特性を備え、核の廃物利用であるためタングステンなどより安価なことから、米英軍は対戦車徹甲弾の弾心などに使用しています。空気中では不安定で、貫通した標的内部で激しく燃焼・誘爆します。

 天然ウランの六割相当の放射線を出すなど放射性物質であることにかわりなく、体内に吸収されれば内部被ばくを引き起こし、重金属障害をもたらす化学毒性もあります。米英軍は湾岸戦争で約三百トン、イラク戦争では千百トン〜二千二百トンの劣化ウラン弾を使用したと報じられ、大気・土壌・地下水汚染や健康破壊が問題となっています。

 米軍は、この劣化ウラン弾を日本でも使用しました。一九九五年十二月から九六年一月にかけて、沖縄本島の西方約百キロにある鳥島射爆場で、米海兵隊岩国基地(山口県)所属のAV8BハリアーII垂直離着陸攻撃機が千五百二十発の劣化ウラン弾を発射しています。事件は一年以上たった九七年一月に米から日本に通報され、日本政府は二月になってから公表しました。

 米国内では指定した四つの実験場以外での使用を禁じている劣化ウラン弾を、他国では無造作に使用する米の傍若無人ぶりを示した事件でした。日本政府も「米の説明では」を連発し、「毒性は低い」などと、米側の説明をおうむ返しにする姿勢に終始しました。米側は、事件は米軍規則に違反した「誤使用」だと説明しましたが、関係者の処罰もないなど不透明な幕引きで、事件の全ぼうは明らかではありません。回収された劣化ウラン弾は二百数十発にすぎず、大半が未回収のまま放置されています。

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 〔2003・12・18(木)〕


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