2003年12月20日(土)「しんぶん赤旗」
政府は十九日、安全保障会議と閣議を開き、日本を米国の先制攻撃戦略に組み込む「ミサイル防衛」システムの導入を決定しました。また、現行の「防衛計画の大綱」(一九九五年十一月)に代わる新たな大綱を二〇〇四年末までに策定するなど「防衛力の見直し」の基本方針を決め、自衛隊の地球的規模での派兵推進を打ち出しました。
閣議決定では、「ミサイル防衛」システムについて、米国の戦略に深く組み込まれる問題には触れず、「純粋に防御的」などと美化しました。
自衛隊の装備調達の五カ年計画である現行の「中期防衛力整備計画」(中期防)の対象期間は二〇〇五年度までです。しかし、「ミサイル防衛」システムが「大規模な事業」であることから、対象期間を前倒しして終了し、〇四年末までに新たな中期防を策定する方針も決めました。
また、今回の決定では、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散などの「新たな脅威」をあげ、「ミサイル防衛」に加え、「国際社会の平和と安定のための活動に主体的・積極的に取り組み得るよう、防衛力全般について見直しを行う」とし、自衛隊の「従来の整備構想や装備体系について抜本的な見直しを行」うことを打ち出しました。
この中で、自衛隊の地球的規模での派兵を可能にするため「所要の機能、組織及び装備を整備する」と強調。一方で、「本格侵略対処」のための装備については「縮小等を図る」としました。
同方針の下で、自衛隊の海外派兵任務の位置付けや、今後の「防衛力の在り方」を明らかにするため、新中期防の策定前に「防衛計画の大綱」を見直すとしました。
弾道ミサイルを迎撃するもので、米国が開発・配備を進めているもの。相手のミサイル攻撃を無力化することで、報復の心配なく先制攻撃を可能にするための危険なシステムです。具体的には、陸上配備型の新型パトリオット・ミサイル(PAC3)、海上配備型の新型スタンダード・ミサイル(SM3)を導入します。防衛庁の概算要求(8月)では、1423億円を計上。98年いらい日米共同技術研究している「次世代ミサイル防衛」を含めると将来的には6兆円という試算もあります。