日本共産党

2003年12月20日(土)「しんぶん赤旗」

主張

年金・税制改悪

常軌を逸した国民負担増


 来年度予算案の内示を前に自民・公明がまとめた年金と税制の改定案は、今後十数年にわたる大幅負担増と給付減を家計に迫っています。

 厚生年金について与党は、現役世代の平均収入に対して50%以上の給付を維持するとしています。

 ところが、その実態は、保険料は来年十月から毎年増やし、十三年かけて35%増しの水準まで引き上げ、給付は実質15%減の水準まで引き下げていくというものです。

 国民年金でも段階的な保険料引き上げとともに、大多数を占める低額年金でさえ給付水準の大幅な引き下げをねらっています。

「50%」すら絵空事に

 何より、基礎年金への国庫負担二分の一への引き上げを先送りにしたことは、年金制度への不信をいっそう増幅するものです。

 重大なのは、小泉内閣・与党のやり方では、こんな年金の水準さえ絵空事になりかねないことです。

 与党が示している給付と保険料の水準は、賃金や可処分所得が2%程度の上昇を続けるなど景気と所得の安定的な改善を前提にしています。

 しかし、年金改悪に加えて、血も涙もない庶民増税を並べた与党の税制大綱を強行するなら、景気も所得も改善に向かう道理がありません。

 まず、来年度からの所得税・住民税の増税です。

 所得税・住民税は、生計費には課税しないという原則に立ち、世帯構成や年齢などに応じて所得から一定額を差し引いた残りに課税する仕組みです。差し引く部分が所得控除で、これを削れば増税となり、とりわけ低所得層の生計を直撃します。

 すでに政府は専業主婦世帯の配偶者特別控除の廃止を決めています。与党は今回、六十五歳以上が対象の老年者控除の廃止と公的年金受給者にかかわる控除の削減を求めました。これらを合わせると、増税は平年度で一兆円規模に膨らみます。

 高齢者や専業主婦の世帯だけではありません。住民税の均等割部分の引き上げと、これまで非課税だった妻への課税で共働き世帯の税負担も増やされます。

 〇五、〇六年度には所得税の定率減税を縮減・廃止し、諸控除の改廃や低所得層の住民税増税につながる「個人所得課税の抜本的見直し」をやると明記しています。

 定率減税の廃止だけで二兆五千億円もの増税となり、家計に深刻な打撃を与えることは明白です。

 総仕上げが消費税増税です。税制大綱は、〇七年度をめどに、とはっきりのべています。

 政治献金あっせんをテコに、与党と民主党に消費税大増税の実現を迫ってきた日本経団連の奥田碩会長は歓迎を表明しています。反対に国民の目から見れば、くらしも経済もボロボロにする、完全に常軌を逸した路線というほかありません。

税の使い方の改革こそ

 与党の年金試算の前提である景気安定、賃金や所得の上昇も、これでは夢物語に終わらざるを得ません。

 与党は年金など社会保障の財源や地方への税源移譲を大増税の口実にしていますが、こんな大改悪を強行すれば日本経済そのものが壊れてしまいます。年金や地方財政の基盤も崩すことになるのは明らかです。

 政府・与党のやり方では国民負担増と経済破壊、福祉後退の袋小路から抜け出すことはできません。

 道路特定財源の一般財源化や軍事費の大幅削減など税金の使い方を根本から転換し、国民のくらしと社会保障を予算の主役に据える改革こそ切実に求められています。


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