日本共産党

2003年12月24日(水)「しんぶん赤旗」

公明党

神崎代表視察で派兵加速

「歯止め」どころか露払い


 政府は、来年一月中旬にもイラク南東部の都市・サマワを中心に陸上自衛隊の先遣隊を派兵する方針を固めました。陸自派兵の流れは、神崎武法公明党代表がイラク訪問で“安全宣言”とお墨付きを与えたことで一気に加速しました。

派兵の材料提供

 自民、公明両党は、自衛隊をイラクに派兵させるための「基本計画」の決定(九日)で「覚書」を交わし、(1)陸上部隊の活動は、首相が現地の治安状況を十分に見極め、改めて適切な指示を行う(2)与党と緊密に協議する−と確認。公明党は、この「覚書」でイラク派兵に「公明党の提案によって、明確な歯止めをかけることができた」(冬柴鉄三幹事長、公明新聞十一日付)と大宣伝してきました。

 しかし、「基本計画」の決定を認めた以上、自衛隊のイラク派兵を認めたことに変わりはありません。冬柴氏自身、同党がイラク特措法を積極推進したことを理由に、派兵自体の見送りを政府に働きかけることは「まったくない」(二十日、NHK討論番組)と断言しています。

 しかも「覚書」は、「陸上部隊の活動」と限定して明記することで、航空自衛隊の派兵はすぐにでもできるようフリーハンドを与えました。現に二十六日にも先遣隊が派兵されることになっています。

 公明党は、何ら歯止めにならない「覚書」でイラク派兵を容認したうえに、今度は神崎氏の「サマワ視察」なるもので首相が派兵の指示を行う材料を提供。“歯止め”どころか、派兵強行への露払いの役割を果たしているのです。

「視察」で言い訳

 陸自派兵への流れをつくった神崎氏の「サマワ視察」なるものも問題です。

 神崎氏の現地滞在時間はわずか三時間半。武装したオランダ軍の警護のもとで行われ、「政府内にも『神崎氏が訪問したのは安全な中でも最も安全な場所。しかも数時間の滞在で、何が分かるのか』と訪問の意図をいぶかしがる声もないわけではない」(「日経」二十三日付)と指摘されるのも当然です。

 神崎氏は、この「視察」のなかで、オランダ軍司令官が「街の理髪店に防弾チョッキを着けずに単身で出かけることができるほど落ち着いている」「ヘルメットもかぶる必要はない」と語っていたと説明し、「現地は比較的平穏だ」と“安全宣言”をしたのです。

 サマワでは、市庁舎を標的にしたテロ計画二件が発覚し、今月六日にはハンガリー部隊の車列に対する銃撃事件も発生。オランダ軍は「テロの標的になる可能性は排除できない」として、警戒レベルを引き上げているのにです。

 しかも、「理髪店」の話が実態と違うことも、現地ジャーナリストの指摘で明らかになりました。

 神崎氏は、帰国後の二十二日の記者会見で「理髪店」の話を問われると、「私が(日本で)理髪店に行く際も警護の人がついてくる。警備対象者だからついてくるだけだ。警護がついていたから危険だということではないのではないか」(公明新聞二十三日付)と苦しい言い逃れをしました。

 イラク派兵を後押ししながら、いまなお「容認したわけではない」「慎重の上にも慎重を」(神崎氏、同)というのは、国民の批判を免れるためのアリバイづくりにすぎません。


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