2003年12月24日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 連結納税が導入されたことにより、法人税収はどれだけ落ち込んでいるのでしょうか。(京都・一読者)
〈答え〉 親会社とその100%子会社からなる国内企業グループを対象とする、連結納税制度が二〇〇二年度から導入されました。同制度を選択した企業グループは、グループ内の黒字企業の利益と赤字企業の損失を通算し、全体が黒字となったときに法人税を納めます。その場合の課税所得も、赤字企業の損失との相殺によって小さくなります。子会社などない大多数の中小企業には無縁な、大企業のための減税制度です。
国税庁は今年十月、申告の初年度である〇三年三月期に連結納税を適用した法人の申告状況をまとめました。これによると百三十四企業グループのうち十八グループだけが黒字で、その連結所得の合計は三百二十五億円となっています。しかし、申告した企業グループ内の個々の会社を単体としてみると、二千五百四社のうち、六割を超す千六百四十三社が黒字です。その所得額を合計すると九千二百八十七億円となっています。
単体ならば九千二百八十七億円ある課税対象所得が、連結納税によって、三百二十五億円に減っていることになります。これによる法人税の減税規模は、約二千七百億円にのぼります。
連結納税による減税がどのくらいになるかは、その年度の個々の企業グループの状況によって変わるため一様ではありません。しかし、連結納税を選択する企業グループの増加にともない、今後法人税収が大幅に落ち込むことはさけられません。連結納税の申請は、今年九月までの累計で三百八十四グループ、五千九十六社に達しています。
制度導入当初、連結納税による減税規模は年七千九百八十億円(平年度ベース)と推計されたため、連結納税の法人税率を2%引き上げる「連結付加税」などが二年間の時限措置として実施されました。政府・与党は来年度、連結付加税も計画通り廃止する方針です。
(水)
〔2003・12・24(水)〕