日本共産党

2003年12月25日(木)「しんぶん赤旗」

庶民のみこむ“雪崩”予算

4兆円+3兆円の負担増…その先に消費税大増税

大企業優遇の小泉自・公内閣


 これではまるで、庶民をのみこむ“雪崩予算”――小泉内閣が二十四日決めた来年度予算政府案は、国民に連続的な痛みを押しつけるものです。(山田英明記者)


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高齢者も働き盛りも軒並み負担増

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デイケアに向かう介護保険利用者=東京都内

 来年度予算政府案は、小泉自民・公明内閣が今後三年間で、新たに年間三兆円の負担増を国民に押し付けることを宣言する内容となっています。二〇〇一年四月の小泉内閣発足以降、すでに同内閣が決めた負担増は約四兆円になります。新たな負担増を加えると七兆円を超える痛みが国民生活を襲います。

 政府案は、負担増、給付減で、働きざかりから高齢者まで幅広い世代に負担増をもたらすことが特徴です。

 与党の自民党、公明党による年金「改革」は、二〇一七年まで、保険料を毎年0・354%引き上げることを決めました。さらに来年度は、給付額を0・2%−0・3%引き下げる物価スライドを実施しようとしています。こうした年金改悪の影響で、今後三年間で約二・五兆円の負担増がのしかかることになります。

 来年度税制「改正」で盛り込まれた中身をみると、高齢者の税負担を軽減している老年者控除の廃止や公的年金等控除の縮小、住民税の均等割の「改正」など、多くの庶民増税項目が並んでいます。

 政府案は、さらに生活保護の老齢加算を廃止するなどの給付減を盛り込みました。

 こうした庶民増税などの項目で約五千億円。社会保障の負担増とあわせると、小泉内閣は新たに三兆円の負担増を国民に押しつける計算になります。

税収の空洞化招く法人税減税

 国民から増税で吸い上げた税金を大企業・大銀行につぎ込んできた小泉内閣。来年度税制「改正」でも、大もうけをしている巨大企業グループに有利な減税などが盛り込まれ、来年度の法人税の新たな減収は五百三十億円(財務省概算)になります。

 一方、年金課税の強化の増収分は三百九十億円(〇五年一月から三月分)となります。これも大企業減税に消えてしまいます。

 〇四年度は、歳出が八十二兆円にたいし、税収は四十一兆円。国債発行額は三十六兆五千九百億円となります。

 国民に負担を強いる一方、大企業や大銀行の税負担をいっそう軽減し、財政難を演出するのが小泉内閣です。自民、公明の与党や民主党が、税制の抜本的「改革」や社会保障の財源として想定するのは消費税の増税です。

 国民にとっては、押しつけられた痛みの先にあるのは、さらなる痛みでしかありません。



国民のくらし応援へ

政治の流れ変えてこそ

 小泉「構造改革」の名のもとで、国民や中小企業に負担増が押しつけられ、景気を冷やし、その結果、税収を減らし、財政を悪化させてきました。

 そうした「改革断行予算」の継続を掲げて編成されたのが、来年度予算政府案です。

 今、大事なことは、必要のない公共事業や軍事費など、予算の無駄を改めることです。そうすれば、消費税に頼らなくても社会保障の財源を確保することができます。

 さらに、大企業・大銀行本位の政治ではなく、国民のくらし応援を最優先にする政治に切りかえてこそ、景気を回復軌道に乗せ、税収を増やし、財政危機を打開していく道が開けます。


2004年度予算の骨格(政府案)
一般会計82兆1109億円(0.4)

◇一般歳出47兆6320億円(0.1)
 社会保障19兆7970億円(4.2)
 文教・科学6兆1330億円 (▲5.2)
 軍事費4兆9030億円 (▲1.0)
 公共事業 7兆8159億円(▲3.5)
 経済協力7686億円(▲5.8)
 エネルギー5065億円(▲9.0)
 中小企業1738億円(0.5)
◇国債費17兆5686億円(4.6)
◇地方交付税交付金等16兆4935億円 (▲5.2)

◇歳入のうち
 税収41兆7470億円(▲0.1)
 その他収入3兆7739億円(6.1)
 国債36兆5900億円(0.4)
(国債依存度44.6%、2004年度末発行残高483兆円程度)

財政投融資計画
 20兆4894億円(▲12.5)
 ( )内は2003年度当初比伸び率%、▲は減

暮らしはこうなる

(2003年度当初予算ないし現行→2004年度政府案)

社会保障

■年金
 厚生年金保険料率
 13.58%(労使折半)→13.934% 以後、毎年0.354%ずつ上げ、2017年に18.35%へ
 給付
 →0.2〜0.3%引き下げ
  物価スライド制により2年連続で削減
 厚生年金(夫婦2人、モデル世帯)
 月23万6000円支給の場合、年間5600〜8500円の支給減
 国民年金(夫婦2人、満額支給で)
 月13万2700円支給の場合、年間3000〜4700円の支給減
■生活保護費
 老齢加算 最高額で月1万7930円→3年間で段階的に廃止
 扶助基準 最高額(標準3人世帯)月16万2490円→月16万2170円 物価スライドに連動させ0.2%引き下げ

教育

■私学助成(私立学校への経常費補助)
 私立大学 3218億円→3263億円
 (うち法科大学院開設の特例的な立ち上げ支援25億円)
 私立高校 1001億円→1028億円
 (うち少子化対策関連施策分25億円)
■育英奨学事業
 無利子貸与 42.7万人→43.8万人
 有利子貸与 43.9万人→52.7万人
■国立法科大学院の授業料(標準額)
 78万円(概算要求額)→80万4000円

中小企業

■一般歳出に占める中小企業対策費の割合
 0.36%(1729億円)→0.36%(1738億円)
 中小企業基本法制定以来の最低水準

住宅

■住宅建設計画
 住宅金融公庫の融資戸数 37万戸→22万戸
 都市基盤整備公団などの住宅建設戸数
 9900戸→9400戸(都市基盤整備公団は04年  7月から都市再生機構に移行)

税金

■消費税
 税率
 5%→07年度をめどに引き上げを検討
 事業者免税点制度
 適用上限3000万円→1000万円
 総額表示
 義務付けなし→義務付け
■所得税・住民税
 配偶者特別控除
 所得税38万円、住民税33万円
 →所得税で廃止(1年後に住民税で廃止)
 老年者控除
 50万円(65歳以上、合計所得1000万円以下)
 →所得税で廃止(1年後に住民税で廃止)
 公的年金等控除
 最低保障額 140万円→120万円


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