2003年12月25日(木)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の志位和夫委員長は二十四日放映のCSテレビ・朝日ニュースターの「各党はいま」に出演し、イラク派兵問題や自衛隊の実態、憲法問題などについて朝日新聞の本田優編集委員の質問に答えました。
このなかで志位氏は、政府が十九日に閣議決定した「ミサイル防衛」システム導入について、「アメリカの側からすれば、報復の心配なしに先制核攻撃ができるフリーハンドを手にすることになる。そのシステムに日本が組み込まれるとなると、地球的規模での軍拡競争に、日本が被爆国でありながら参画する恐ろしい事態になる」と批判しました。
さらに、「発射したミサイルが日本を狙っているものなのか、アメリカ本土を狙ったものかの判別がつかない。仮にアメリカ本土を狙ったものを日本のイージス艦から落とすとなると、集団的自衛権の行使そのものになる。まさに憲法をじゅうりんする道を開く点でも許すことができない」「巨額の財政支出を要する点でもやってはならない」と撤回を求めました。
志位氏はまた、政府が二〇〇四年末までに日本の「防衛政策」の基本方針である「防衛計画の大綱」を見直すことを決めたことについて、「自衛隊を本格的な海外派兵型軍隊に編成がえをしていくことが狙い」として、自衛隊をめぐる新たな変化に注意を促しました。
一つは、これまで自衛隊の任務といわれてきた「専守防衛」という建前をなげすてて、海外派兵を自衛隊の「主要な任務」にはっきり位置付けようという方向です。もう一つは、イージス艦やヘリ空母、空中給油機など海外派兵用兵器などで自衛隊の装備を一新するという、装備・機能面でも海外派兵型の軍隊につくりかえる動きになっていることです。
志位氏は、そのためにアメリカの戦争に自衛隊がいつでもどこでも参戦できる恒久法制定や、憲法九条改悪のくわだてがすすめられようとしており、この動きを大きくすすめたのが、日米同盟の「地球的規模の拡大」で合意した今年五月の日米首脳会談だったと指摘。「憲法を守る国民的大運動を、垣根を越えてつくりあげていく大事な歴史的局面にきている」と強調しました。
志位氏は、憲法九条について「広い視野で世界をみると、二十一世紀こそ九条の理念が世界で生きる時代になってきたという時代認識をもつべきだ」とのべました。アジアでは、ASEAN(東南アジア諸国連合)の「平和憲法」といわれ、国連中心、相互の主権尊重、平和共存、紛争の話し合いでの解決などをうたった「東南アジア友好協力条約(TAC)」に中国とインドが加入し、この枠組みのもとで二十数億人が暮らすようになっていることを紹介。
「アジアをみても、アジア版の『平和憲法』がこんなに広がる変化がおこっている。世界を広い目でみたら、九条の理念がいよいよ生きてくるアジア、世界になりつつあるのが現状だ。私たちが大変な犠牲を払って築いた宝は、子々孫々までちゃんと伝えていくのが私たちの義務だ」とのべました。