2003年12月26日(金)「しんぶん赤旗」
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政府・防衛庁が、イラク南部の都市サマワに派兵しようとしている陸上自衛隊部隊の活動拠点として、かつてない厳重警備の宿営地をつくる方針であることが分かりました(図)。陸自部隊が「攻撃などを受ける危険を念頭に置いた」(関係者)措置。「(サマワの)治安状況は比較的安定している」(神崎武法・公明党代表)などというのがごまかしであることを示すものです。
陸自部隊の宿営地には、二重のフェンスを張り巡らし、堀や壕(ごう)も設けます。入り口には、車両が突入できないように障害物を設けてジグザグの通路をつくります。そこに、(1)警備員による検問ゲート(2)金属探知機などによる車両・人員の点検ゲート(3)前方の合図で開閉する後方ゲート−の三重の開閉式ゲートを設置。それぞれのゲートで、武装した自衛隊員が警備にあたります。監視カメラも取り付けます。
宿営地外で移動する場合は、襲撃に備え、車列の前方と後方に高機動車などを配置し、警戒にあたります。
政府はすでに、陸自部隊に無反動砲や対戦車弾、装輪装甲車など、かつてない強力な武装をさせることも明らかにしています。
防衛庁は、陸自部隊の武器使用について定める「部隊行動基準」(ROE=交戦規則)を作成。同規則について「(隊員が)ちゅうちょすることなく適切に武器を使用する」(関係者)よう定める考えです。
陸自部隊は、宿営地を活動拠点にして給水支援を行うとしています。
しかし、攻撃を避けるため、基本的には、地元自治体が保有・契約している水タンク車に、自衛隊の宿営地までわざわざきてもらい、給水する形をとります。自治体の水タンク車は、三重のゲートを通り、宿営地の中まで入らなければなりません。イラク国民に直接給水するのは「現地の状況に応じて行う」(関係者)というだけです。
宿営地などの警備にあたる兵員は百三十人にのぼり、給水などの活動に携わる兵員百二十人を上回るとも報じられています。
政府内からもすでに「NGO(非政府組織)にお願いして、ミネラルウオーターを送った方が安いという話にもなる」(高官)との声が上がっています。
陸自部隊は給水支援のほか、建設・修理や医療分野での支援も行うとしています。しかし、建設・修理は、(1)学校の建具などの軽易な補修やグラウンドの整備(2)交通量が少ない道路を選んでの補修や側溝づくり−と極めて限定的なもの。医療も、診療・看護・検査などの技術指導・助言が中心です。