日本共産党

2003年12月27日(土)「しんぶん赤旗」

日本の貯蓄率が急速に下がっている?


 〈問い〉 日本の貯蓄率が急減しているそうですが、どのくらい下がっていますか。(東京・一読者)

 〈答え〉 経済統計で貯蓄率というときは、通常、家計部門の貯蓄率(家計貯蓄率)をさします。税金などを引いた可処分所得と年金の受け取りの合計から、どれだけ貯蓄にまわしているかを百分率(%)であらわします。貯蓄を取り崩せば貯蓄率はマイナスとなります。

 欧米諸国と比べ高い家計貯蓄率は日本経済の特徴の一つでしたが、内閣府「国民経済計算」によれば、二〇〇一年度の貯蓄率は前年度の9・3%から2・7ポイント急落の6・6%、〇二年度も6・2%と続落しています。日本の貯蓄率はドイツやフランスを下回り、低貯蓄率のアメリカとの「接近」や「逆転」の可能性も論じられています。

 日本の貯蓄率は戦後、一九四〇年代を除き上昇を続け、七〇年代前半に20〜23%台に達しました。その後緩やかに下降し八〇年代末には12〜13%台を経験しましたが、九〇年代はおおむね10%以上で推移しました。これが、小泉内閣が発足した二〇〇一年度に6・6%に急落したのですから顕著な変化です。日本銀行内に事務局をおく金融広報中央委員会が九月に発表した調査は、「貯蓄なし」世帯が21・8%に達し四十年ぶりの高水準だと告げています。

 しかし、今年十月に発表された〇三年版『経済財政白書』は「マクロ的な貯蓄率は高齢化に伴って低下する」といった一般論を述べ、総務省の家計調査で「高齢無職者の貯蓄率はマイナスで、その幅は拡大している」ことなどをあげて、「高齢化」などのせいにしようとしています。『白書』がいわないのは、資料に挙げた「高齢無職者」の貯蓄率が、とくに〇一年以降、急速に悪化していることです。政府の「構造改革」路線が「高齢無職者」にもおそいかかり、“虎の子”の貯蓄取り崩しを加速させていることなどが、『白書』の引証資料からもかいま見えてきます。

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 〔2003・12・27(土)〕


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