2003年12月28日(日)「しんぶん赤旗」
自民・公明政府が来年の通常国会に提出する年金改悪案は、平均的収入のモデル世帯(夫のみ四十年働く夫婦)の厚生年金を、収入の約六割から五割まで下げます。共働きや単身者の場合は、収入の三割台に下がることを厚生労働省が二十六日、明らかにしました。保険料は来年十月から毎年0・354%(労使折半)ずつ上げ、いまの13・58%(同)から18・35%(同)まで引き上げます。年金カットと保険料負担増のダブルパンチに怒りの声が上がっています。
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平均的収入(平均年収五百七十二・五万円)のモデル世帯の場合、いまの年金は手取り収入の59・4%。それが50・1%に下げられます。
一九六一年生まれの場合、六十五歳から受け取る年金は、物価や賃金上昇の政府予測にもとづく六十五歳時点の価格で月五・五万円減らされます。年金を受ける期間が二十年の場合、千三百二十万円の減額です。保険料は六十五歳まで働いたとして今より二百十七万円以上の負担増。
同じ六一年生まれの伊藤圭一さん(42)=労組役員=は、小学二年と五年、中学二年の子育て真っ最中。パートの妻は伊藤さんの扶養家族です。「子育てと住宅ローンの返済で精いっぱい。老後資金を蓄える余裕はないですね。高齢者の医療や介護の負担は増やされてるのに、頼りの年金は減らされたんじゃ…」
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男性単身者の場合は、現在の平均的手取り収入の42・7%が36%に下がります。一九六一年生まれでみると六十五歳から受け取る年金は、月四万円の減額。二十年で九百六十万円のマイナス。保険料は夫婦世帯と同じ、二百十七万円以上の負担増です。
同じ年の生まれで単身者のSさん(42)=神奈川県在住、サービス業=。今年四月から5%賃金カット、退職金は10%以上の減額。来年も賃下げが提案されています。「賃金が下がったのに介護保険料は値上げ、ボーナスから年金と健康保険の保険料が引かれる。このうえ消費税まで上がればどうなるのか。お先真っ暗って感じですね」
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平均的収入(九百二十二万円)で、ともに四十年間共働きの夫婦の年金は、手取り収入の46・7%が39・4%に下げられます。
一九七四年生まれの場合は、六十五歳から受ける年金は夫婦で月九・三万円の減額。二十年受けたとしてカット額は二千二百三十万円。保険料の負担増は、夫婦で八百万円以上になります。
同年生まれの労組専従書記、東京・東村山市在住の布施恵輔さん(29)は結婚四年目。そろそろ子どもをと考えています。しかし給与は人事院勧告に見合って二年連続カット。「子どもは二人が理想。だけど給与の動向や社会保障の改悪、高い教育費を考えると二人育てられるかと考えてしまう」
全労連幹事でもある伊藤さんはいいます。「公共事業や軍事費を削減すれば、年金の国庫負担を二分の一に引き上げる財源はできる。年金積立額のリスクの高い運用はやめ、既存の積立金百七十五兆円を計画的に活用すれば、国民に犠牲を押し付けずに年金財政は立て直せます」