2003年12月29日(月)「しんぶん赤旗」
【ベルリン27日片岡正明】イラク南部のカルバラで四人の自国兵士が死亡、少なくとも二十七人が負傷という大惨事に直面したブルガリア政府は大きな衝撃を受けています。ディミトロフ国防次官、コレフ軍参謀総長は二十七日に行った記者会見で、攻撃への備えがまったく役に立たなかったことにショックを隠せませんでした。
ブルガリアでは国防省と軍参謀本部が事件後、緊急会議を開催。スペイン訪問中のサクスコブルクゴツキ首相が訪問を中止して帰国するなどあわただしい動きが続きました。国防省と参謀本部は、緊急にスタッフを現地に派遣しました。
パルバノフ大統領は「犠牲はつらい」としつつ、なおもイラクでの米軍支援を表明しました。ブルガリア政府の対米支援は、来年に北大西洋条約機構(NATO)加盟を控え、米国の支持をあてにしてのものですが、今回の犠牲が派兵反対の声を高めるのは必至です。
ディミトロフ次官は記者会見で、国防省と現地部隊が危険に十分備え、「すべての手段を尽くし、すべての機関が義務を果たしていたにもかかわらず、もっとも望ましくないことが不幸にも起こってしまった」と嘆きました。コレフ参謀総長は「カルバラの安全対策は日ごとに向上していた。不幸なことにテロリストの戦術が変化した」と語り、タンクローリーが防護壁を突破し、部隊本部がある建物に突進するという予想外の攻撃があったことを指摘しました。
イスラム教シーア派の聖地、カルバラはスンニ派地域に比べ比較的安全といわれたところ。ポーランド部隊指揮下に三千四百人の外国軍部隊が駐留しています。
ブルガリアは機械化歩兵大隊、補給部隊など四百七十人をカルバラに派遣。八月末に米軍から引き継いで治安任務についていました。