2003年12月30日(火)「しんぶん赤旗」
自衛隊のイラク派兵に反対する声と運動が、宗教界にも広がっています。
日本宗教者平和協議会(宗平協)、平和をつくりだす宗教者ネット、日本山妙法寺などがいち早く反対を表明し、諸階層と連帯して運動をすすめているのをはじめ、教団レベルでの反対表明が相次いでいます。
仏教界では臨済宗妙心寺派が「自衛隊派遣反対宣言」を発表し、傘下の各寺院に対し、この宣言を「檀(だん)信徒に広報する」ことを指示しました。
真宗大谷派(東本願寺)は「(派兵は)報復の悪循環を助長するだけで、イラク国民の生活を回復することにはならない」との宗務総長コメントを発表。浄土真宗本願寺派(西本願寺)は派兵計画の中止を求める要請文を小泉首相に送りました。
日蓮宗は声明を発表。「いかなる理由があろうとも、戦争と言う手段を認めることは出来ない」「(派兵に)深い懸念と憤りを禁じえない」と表明しています。
キリスト教界では、日本キリスト教協議会(NCC)、日本バプテスト連盟、日本バプテスト同盟、日本ナザレン教団社会委員会、キリスト教婦人矯風会などが相次いで派兵反対を表明。「米国による不当な侵略戦争に協力することは愚か」「(派兵は)憲法の平和主義と国際協調主義を放棄し、信頼を裏切ることになる」(NCCの首相あて要望書)とし、バプ連盟は派兵強行が将来の徴兵制につながる危険性を指摘しています。
新宗教の諸教団で構成している新日本宗教団体連合会は「(派兵は)新たな戦闘を招きかねない」との文書を首相に提出。加盟教団の立正佼成会は閣僚あて意見書を発表し、派兵を「慎重に考え、対処することは、決してテロに屈したことにはならない」と指摘しました。
大本は総長・本部長コメントで「(派兵により)世界を泥沼化させることを憂慮する」「国連を中心とする人道復興支援に貢献する」よう求めています。
日本宗平協はこうした状況をふまえ、「宗教団体が反対の声を上げることを、国民は強く願っている」との文書を各宗教・宗派の本山・本部に送り、派兵反対の世論形成に力を発揮するよう呼びかけました。