2003年12月31日(水)「しんぶん赤旗」
小泉・自公政権のもとで常態化した自衛隊の海外派兵−。今年から新年にかけても、約千百人の自衛隊員が軍事行動のため海外で越年します。年明けにはイラクへの本格派兵が狙われており、戦後初めての戦地派兵を許すかどうか緊迫した局面が続きます。
|
小泉・自公政権は、今年七月の自衛隊イラク派兵法(イラク特措法)の強行に続き、十月には二年間の時限立法だったテロ特措法を延長。アフガニスタンを中心にした米国の対テロ報復作戦を支援するため、海上自衛隊の艦船が、アラブ首長国連邦のフジャイラ港を拠点に、インド洋で米軍艦船などへの給油を継続しています。
十二月末時点でインド洋に展開しているのは、護衛艦「ひえい」、護衛艦「あけぼの」、補給艦「ときわ」の三隻。乗組員総数は六百人にのぼります。
PKO(国連平和維持活動)法に基づく海外派兵では、十二月末現在、ゴラン高原(イスラエル、シリア、レバノン)に四十五人、東ティモールに四百十二人の自衛隊員が派兵されています。物資輸送や施設建設が主要任務のため、大部分は陸上自衛隊員です。国連のPKO本部にも一人が派遣されています。
小泉・自公政権は十二月九日、米英両国の不法なイラク占領を支援するため、イラク特措法に基づく自衛隊派兵の「基本計画」を決定。十八日には「実施要項」の策定を強行しました。これを受けて航空自衛隊の先遣隊を順次、クウェートとカタールに派兵しています。(先遣隊の総数は四十数人)
空自の先遣隊派遣に続いて、政府・防衛庁は来年一月中旬には、陸自の先遣隊約三十人を派兵する方針です。同月下旬には、空自のC130輸送機部隊約百五十人と、イラク南部の都市サマワ周辺に陸自本隊の宿営地を設営する陸自施設部隊約八十人を派兵。二月中旬から三月中旬にかけて、陸自本隊約四百四十人を三次に分けて送り込む案を検討しています。
これらが強行されれば、総計で陸自約五百五十人、空自約二百人となり、陸自の部隊などを輸送する海自艦船の乗組員三百人前後を加えると、千人規模の派兵になります。
政府・防衛庁は来年さらに、海外派兵を自衛隊の任務の中心に据える新「防衛計画の大綱」を策定する方針です。これを受けて海外派兵のための「恒久法」もつくろうとしています。同法が成立すれば、自衛隊の海外派兵のたびに特別の法律をつくらなくても、いつでもどこでも自由に派兵することが可能になります。
イラク派兵中止を求めるたたかいはもちろん、憲法違反の海外派兵を無制限に拡大する動きをくいとめるたたかいも、重大な局面を迎えます。