日本共産党

2004年1月5日(月)「しんぶん赤旗」

つくって壊して4千億円

保養施設 年金財源で大ムダづかい


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 年金の掛け金を湯水のように使って、厚生労働省所管の特殊法人「年金福祉事業団」(いまの年金資金運用基金)が、全国十三カ所に建設した大規模年金保養基地「グリーンピア」が、経営不振のため大きな赤字を抱え、運営停止となっている施設が六カ所にのぼっています。この事業推進に一九八八年当時、厚生大臣だった小泉首相はじめ自民党・公明党政府は、年金財政から約四千億円もつぎこんだ事業の破たんについて国民への説明もなく、責任もとらないまま、保険料引き上げと給付削減の年金大改悪を十九日にも召集される予定の通常国会に提出しようとしています。

 政府は、「グリーンピア」を、二〇〇五年までにすべて廃止・売却する方針ですが、売却の見通しがほとんどたっていません。

 その一つ、鹿児島県指宿市にある「グリーンピア指宿」(建設費二百六億円)は一九八五年四月に開業し、二〇〇二年五月に累積赤字約六億円を抱え、運営停止となったもの。三百万平方メートルを超す広大な敷地に、水道も電気も止まり、傷みの目立つホテル、イノシシが掘り返し跡形もないゴルフ練習場、さびついた直径五十メートルの大観覧車など、「百万坪の廃虚」となっています。

 二〇〇〇年四月に運営停止となった岐阜県恵那市の「グリーンピア恵那」(建設費九十九億円)は、買い手がつかないまま、一億八千万円かけてホテルなどすべて取り壊しました。小泉首相が厚相だった八八年に開業し、ことし三月に運営停止した宮城県岩沼市の「グリーンピア岩沼」(建設費七十七億円)は唯一売却が決まったものの売却価格は4%以下の三億円です。

 「グリーンピア」十三カ所の建設費の合計は千九百十四億円。その元金と利息千五百九十四億円を含めた三千五百八億円を二〇二二年度まで返済しなければなりません。さらに施設の維持管理費、修繕費は約二百九十億円にのぼる見込みで、計約三千八百億円を年金財政から支出することになります。

 基金が各自治体に提示している譲渡金額は、建設費の数%といったもので、損失額はさらに増える可能性もあります。

国民負担増は許されない

 「グリーンピア」問題を国会で再三取り上げてきた日本共産党の小池晃参院議員の話 国民の掛け金である年金を株式に投資したり、こういった「ハコもの」造りに注ぎ込み、赤字でゆきづまったら二束三文で売り払う…。一方で、国民に保険料の値上げ、給付切り下げを押し付けることは許せません。


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