日本共産党

2004年1月5日(月)「しんぶん赤旗」

1億4000万円の報酬(在職6年)

天下り官僚が年金食い物に

グリーンピア破たん


 「百万坪の保養地」をうたい文句に全国十三カ所に建設された「グリーンピア」は、一面所報のように、全国的に破たんし、四千億円近い国民の年金保険料がムダになります。自民党・公明党政府は、二〇〇五年度までに地元自治体に売却する方針ですが、「検討中」も多く、さらに損失額は膨らむ可能性も(表1参照)。こうしたムダ遣いが横行した背景には、自民党の厚生族議員と一体となって同事業を推進した高級官僚の存在があります。

 年金福祉事業団(現年金資金運用基金)の歴代理事長は、厚生事務次官クラスの天下り指定席となっています。十三施設のうち、「指宿」など四施設の管理・運営にあたる財団法人「年金保養協会」も厚生事務次官はじめ厚生省高級官僚OBで独占しています。(表2参照)

 天下り高級官僚がどう年金財政をくいものにしてきたのか。昨年十一月現在の「役員の給与等」によると、基金理事長の俸給月額は百九万二千円、これに特別調整手当、特別手当を含めると年間二千四十万円余を手にしていることになります。退職手当は、退職時の俸給月額に〇・二八を掛け、さらに在職期間(月数)を掛けることになっており、旧事業団、現基金の理事長を通算約六年務めた森仁美氏について試算すると、給与、退職金などで一億四千万円を超す報酬を得ていたことになります。

 「グリーンピア指宿」の近くの観光地、池田湖で貸しボート業をしている小吉茂孝さん(63)は「国民の年金で造ったのに、失敗した。結局、国民にツケがかかってくる。国は何を考えているんだ」と怒ります。道路をはさんだ土産物店の鶴田マリ子さん(54)も「娘の年金保険料の支払いが一カ月遅れると、すぐ督促の電話があった。みんなの年金でムダ遣いしておいて、年金財政が『赤字だ』といって給付を減らす。とんでもない」と話していました。

グリーピアの譲渡・運営停止の状況(表1)

名称建設費
(億円)  
  状況など
大沼(北海道)212 森町が民間企業から企画提案を募集中。基金から4億円という提示
田老(岩手県)115 「岩手県に取得をお願いしたい」(田老町)。「町の取得方針を支援する」(県)
岩沼(宮城県)77 03年3月末運営停止。03年11月、3億685万円で岩沼市に譲渡
二本松(福島県)80 02年6月末運営停止。二本松市が取得の意向。提示額は3億1155万円
津南(新潟県)258 津南町が取得の意向。形態は現状維持で、経営母体など検討中
恵那(岐阜県)99 00年4月末運営停止。02年3月1億8375万円かけ解体。恵那市が跡地利用を検討中
三木(兵庫県)290 「何とか残してほしいという気持ち」(三木市)。「県としては意見表明していない」
南紀(和歌山県)119 03年3月末運営停止。那智勝浦、太地両町でどういう形で使うか検討中
安浦(広島県)135 広島県、呉市、安浦町で検討委設置。検討中。「譲渡価格は聞いていない」(県)
土佐横浪(高知県)135 竜地区(建設費27億円)を00年8月学校法人に4億8200万円で売却。光松・坂内地区の取得を須崎市が検討中。1億円の提示
八女(福岡県)105 黒木町が対策室を設置、基本構想を基金に提出。基本計画を作成中
南阿蘇(熊本県)83 03年5月末運営停止。久木野村が取得の方向、後継企業として24件名乗り
指宿(鹿児島県)206 02年5月末運営停止。同年4月民間公募を行うも不調。指宿市が取得を検討中

■年金資金運用基金(旧年金福祉事業団)の歴代理事長の経歴■(表2)

 【年金福祉事業団】 

 高田 正巳 厚生事務次官 

 牛丸 義留   同 

 高木  玄   同 

 八木 哲夫   同 

 幸田 正孝   同 

 森  仁美 環境事務次官

   (社会保険業務センター所長) 

 【年金資金運用基金】 

 森  仁美 環境事務次官 

 近藤純五郎 厚生労働事務次官 

■年金保養協会の歴代理事長の経歴■

 花村仁八郎 経団連 

 山本 正淑 厚生事務次官 

 実本 博次 厚生省援護局長 

 河野 義男   同 

 熊崎 正夫 厚生事務次官 

 加藤 威二   同 

 加地 夏雄 行政管理庁事務次官

        (厚生省年金課長) 

 山崎  圭 環境事務次官

        (厚生省薬務局長) 

 高峯 一世 総理府社会保障制度審議会

       事務局長(厚生省年金課長) 


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