2004年1月8日(木)「しんぶん赤旗」
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新たな海上埋め立て計画が明らかになった名護市辺野古沖での米軍新基地建設−。政府は、建設強行に向けた作業を加速しようとしています。
昨年十二月、新基地建設について、政府と沖縄県、名護市など地元自治体が協議する「代替施設建設協議会」の第二回会合が開かれました。会合では、政府から新基地建設の進ちょく状況について説明がありました。
それによると、新基地建設に向け、政府が現在進めているのは、(1)建設事業内容の検討(2)護岸構造の検討(3)現地技術調査(4)環境影響評価(アセスメント)の方法書作成−です。
建設事業の内容については、すでに新基地建設の「基本計画」が一昨年七月に決定されています。同計画によると、新基地の規模は、長さ約二千五百メートル、幅約七百三十メートル、面積約百八十四ヘクタールで、建設方法は埋め立て。東京ドーム約四十個分にもあたる巨大な基地をリーフ(サンゴ礁の浅瀬)を埋め立てて建設しようという計画です。
防衛庁の資料でも、一九九七年度の調査で確認されたサンゴの約九十七ヘクタール、国際保護動物で天然記念物のジュゴンのえさ場である藻場約四ヘクタールが死滅する危険があるとされています。
加えて政府は「代替施設建設協議会」の第二回会合で、埋め立て面積は、新基地本体の約百八十四ヘクタールだけではなく、本体を守る護岸部分約二十三ヘクタールの埋め立てが新たに必要で、全体では約二百七ヘクタールになることを明らかにしました。
さらに、作業場を設置するため、新たな海域(大浦湾)を約三十一ヘクタール埋め立てる案も明らかにしたのです。
「基本計画」で明らかにされた埋め立て面積よりも、最大で約五十四ヘクタールもの拡大。新基地本体の約30%にあたる巨大な規模で、自然破壊もいっそう広がります。地元住民からは「何も聞いていない」と批判が噴出しています。
護岸構造の検討では、すでに模型での実験が始まっています。
現地技術調査では、昨年四月に始まった地形調査が同年七月に完了。気象調査は昨年六月に開始し、現在も観測中です。
現地技術調査で現在、大問題になっているのは、ボーリングによる地質調査です。政府は作業計画を作成し、現在、実施に向けて沖縄県と協議中です。
政府は当初、昨年五月からボーリング調査を開始する予定でした。しかし、自然保護団体や地元住民らが「ジュゴンの生息地が破壊される」と強く反発。いまだ実施されていません。
これに対し、政府は「代替施設建設協議会」の第二回会合で、新基地建設予定地でボーリング調査を実施する六十三カ所の具体的な位置を明らかにしました(図)。防衛施設庁は「できるだけ早く実施したい」と強行の構えです。
環境影響評価の手続きも動き始めています。
「代替施設建設協議会」の第二回会合では、新基地建設の事業者を防衛施設庁とすることが正式に決まりました。事業者の決定は、環境影響評価の手続きに不可欠なものです。政府は、軍民共用とすることが決まっている新基地の民間部分について沖縄県が事業者になるように求めていましたが、県は「基地の提供は政府に責任がある」として反発。環境影響評価の手続きに入れていませんでした。
今回の事業者決定を受け、政府は環境影響評価の実施方法を定める「方法書」の完成を急ぐ構えです。