2004年1月12日(月)「しんぶん赤旗」
【ベルリン=片岡正明】米国がイラクでの大量破壊兵器捜索チームの一部撤収に踏み切り、米有力研究所が米政府はイラクの脅威を誇張していたと批判したことを受け、欧州各国のメディアは10日、いっせいに米国批判の論評を掲載しました。
南ドイツ新聞は「事実への臆病(おくびょう)」と題した社説で「米国の研究所が大量破壊兵器のペテンを直撃」し、「米国はうそが重荷になっている」と指摘。
米国は四百人の捜索チームを帰還させ、パウエル国務長官が「大量破壊兵器所有」から「所有の意図」と表現を変更するなど、「うそで固めた話からひそかに忍び出ようとしている」と批判しました。
大量破壊兵器の存在が証明できない今、「予防戦争の論理は証拠もなく言いがかりだけで戦争を始められる危険で非理性的なもの」であり、「このような論理は民主主義に値しない」と論じました。
独ウェルト紙は「米英がイラクの大量破壊兵器の脅威をイラク戦争の唯一の理由としたことは賢明でなく、道を迷わすもの」と評しました。
ノルウェーのダーグブラデット紙は「フセイン(元イラク大統領)が大量破壊兵器の大きな武器庫も危険な生産計画も持ちえていなかったことは明らかだ」と指摘。「米国の調査が間違って誇張された偽りの情報に導いたのに対し、ブリクス国連監視検証査察委員会委員長の結論の方がはるかによく根拠づけていた」としています。