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2020年4月27日(月)

新型コロナウイルス感染症対策にジェンダーの視点を

日本共産党中央委員会・ジェンダー平等委員会

 日本共産党中央委員会のジェンダー平等委員会が発表したアピール「新型コロナウイルス感染症対策にジェンダーの視点を」(全文)は、次の通りです。


 新型コロナウイルスの感染拡大がもたらしている日常生活の激変は、女性に、とりわけ深刻な影響を与えています。

 コロナ対策の最前線で働いている医療・福祉従事者の7割以上が女性です。また、働く女性の多くは低賃金・不安定な非正規雇用労働者で、今回のような経済危機のもとでは真っ先に切り捨ての対象となります。学校の休校に伴って仕事を休んで子どもたちの面倒をみたり、高齢家族の感染防止のケアや介護を担ったりしているのも、多くの場合女性です。さらには、外出自粛と生活不安のストレスが、家庭内でのDVや虐待の危険を高めています。

 国連女性機関(UNWomen)は各国政府に対し、「コロナ対策が女性を取りのこしていないか」と問いかけ、「ジェンダーの視点にたった対策は女性のみならず社会のすべての構成員に良い結果をもたらす」と強調しました。

 日本でも、さまざまな女性団体や当事者・支援運動が、現場の切実な要求を突きつけ、対策を前進させてきました。日本共産党は、コロナ対策のあらゆる場面でジェンダーの視点を取り入れることを、強く求めます。ご一緒に声をあげ、実現していきましょう。

1、「自粛と補償を一体に」―働く女性、シングルマザー、妊産婦への手立てを

 ● 世論が政府に方針転換を求め、「一律一人10万円」の給付金が実現しました。給付を受けるのは一人ひとりの権利であり、とりわけすべてのDV被害者が迅速に給付を受けられるよう求めます。

 ● 正規・非正規労働者、個人事業主、フリーランスを問わず、休業したすべての人に賃金・収入の8割を補償することを求めます。

 ● 学校休業が続くもとで、「小学校等休業対策助成金」を活用して労働者が特別の有給休暇を取得できるよう制度の周知と手続きの迅速化を求めます。また、感染拡大防止のために保育園等への登園を自粛する労働者や、感染リスクを避ける目的で休業を希望する妊娠中の労働者にも対象を拡大するよう求めます。

 ● コロナ危機の下でも、「整理解雇の四要件」に欠ける解雇や退職強要、雇止めは違法です。女性が多いパート、派遣など非正規労働者の不当な解雇・雇止めをやめさせ、労働行政の監視と指導を強めるよう求めます。

 ● 生活福祉資金貸付制度や住宅確保給付金、フリーランスも対象とされる持続化給付金など、くらしの維持に緊急に必要となる支援が迅速に受けられるよう、柔軟な対応を求めます。

 ● 生活福祉資金貸付制度をシングルマザーが自治体の社会福祉協議会に申請した際、「新型コロナによる収入の減少」の要件が壁となり利用できないということが起こらないようにする必要があります。収入は減っていなくても子どもの休校による出費増などで困窮している家庭が除外されることのないよう、柔軟な対応を求めます。

 ● 産院が閉鎖となった場合の転院・紹介のバックアップ体制を整え、分娩(ぶんべん)費用の増加が生じないようにするなど、すべての妊婦が安心して安全に出産できる体制を、国が支援し保障することを求めます。

 ● PCR検査で業務が逼迫(ひっぱく)する保健所の負担を軽減し、保健所が行う乳幼児健診や両親学級、新生児訪問(電話やオンライン等での実施も含む)などの機能を早急に回復するよう求めます。

2、女性と子どもに対する暴力・虐待の防止を 

 ● 配偶者暴力相談支援センターや児童相談所、児童養護施設等、DVや虐待の相談体制を強化し、電話相談回線の拡充、DV・虐待被害者シェルターの確保、人員体制の強化を求めます。

 ● 外出自粛要請のもとでDVや虐待の被害が深刻になっており、従来の延長にとどまらない対策が必要です。訪れやすい場所に臨時の相談窓口を設置する、SNSによる相談を充実させるなど、アクセスが容易で、加害者に知られることなく相談できる仕組みを整え周知するよう求めます。

3、コロナ対策の意思決定に女性の参加の保障を 

 ● 国や自治体の新型コロナ対策本部のジェンダーバランスを改めて見直し、女性の割合を増やすことを求めます。

 コロナ危機のもとで、とりわけ女性や子どもに矛盾と困難が集中していることは、日本におけるジェンダー平等の遅れを改めて浮き彫りにしています。危機を乗り越えた先に、ジェンダー平等社会を実現するためにも、いま、足元から、ジェンダーの視点で一つ一つの課題を見直し、解決に力を尽くしていくことを、すべてのみなさんに呼びかけます。


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