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2020年5月6日(水)

PCR検査の遅れ

政府の責任 浮きぼり

 緊急事態宣言の延長について開かれた4日の記者会見で、政府の対処方針に関する諮問委員会の尾身茂会長は、新型コロナウイルスの感染の有無を調べるPCR検査の遅れについて説明しました。

 尾身氏は歴史的理由として、(1)地方衛生研究所が麻疹(はしか)や結核など感染症法に規定された感染症の検査をしてきており、新しいウイルス感染についての大量検査を想定していない、(2)韓国やシンガポールなどはSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)の経験を踏まえPCR検査体制を拡充してきたが、日本ではそれらの新感染症患者が多数発生することはなかった、などとしました。

 しかし、それは感染症対策の責任ある体制をつくってこなかったこと、SARSやMERSのアジア諸国の経験と対策に十分学んでこなかったということであり、検査の遅れを「正当化」する理由にはなりません。公衆衛生、新感染症対策を怠ってきた政府の責任を示すものでしかありません。また尾身氏は、当初は「重症化を防ぐために限られたキャパシティー(能力)を集中せざるを得なかった」と弁明しました。

 これは「感染者をすべて入院させれば病床がパンクし重症患者への集中治療ができない」という言い分ですが、陽性患者をすべて入院させず、軽症者は施設に保護・隔離し重症者のみを病院に入れるという運用をすることに、もともと法的障害は何もなく、説明は不明確です。政府には、軽症や無症状の感染者を市中に放置して、感染を拡大させたという重大な責任があります。

 さらに尾身氏は、3月6日にPCR検査が保険適用になった後も検査が進まなかった理由として、○保健所の業務過多○検査を行う地方衛生研究所のリソース(人員など)の少なさ○検体採取者のマスクや防護服などの圧倒的不足など六つの「理由」をあげました。

 しかし、これらはいずれも政府のやる気次第で早急に解決できる問題ばかりです。保健所が業務過多でパンクしているからこそ、保健所に設置された「帰国者・接触者相談センター」を通さないで検査できる体制をつくれと、日本共産党をはじめ野党は早くから提案してきました。民間や大学などの検査機器や人員をフル動員することも提言されています。また、防護資材の確保は、政府が本気で取り組んでも不可能なのでしょうか。現場では、ポリ袋を切って「簡易防護服」に仕立てるなどして、文字通り必死のたたかいが続いているのです。

 いま何より検査センターの大量設置による検査機能拡充のための予算を抜本的に対策することが急務です。(中祖寅一)


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