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2020年5月9日(土)

主張

コロナと介護危機

崩壊食い止める財政支援急げ

 新型コロナウイルスの感染拡大は、介護現場に深刻な危機をもたらしています。感染防止のため休業やサービス縮小を余儀なくされる事業所が相次ぎ、地域の介護の基盤が揺らいでいます。利用者と家族はサービス維持への不安を募らせます。介護労働者は感染の危険と隣り合わせの中で、神経をすり減らす日々です。感染防止をはかりつつ、利用者に必要なケアを提供するために、在宅介護も施設介護も現場は必死です。これに対し安倍晋三政権の支援は極めて貧弱なままです。介護崩壊を食い止めるため、国は財政措置の抜本的な強化をはかるべきです。

現場の疲弊に拍車かかる

 緊急事態宣言の後、デイサービス(通所介護)やショートステイ(短期入所)を休止したり、縮小したりする事業所が増加しています。重症化リスクがある高齢者に感染をまん延させないためです。一方、デイサービスで健康・体力を保ってきた高齢者の状態悪化が危惧されるほか、ショートステイ利用で在宅での介護を成り立たせている家族の負担増は深刻です。

 厚生労働省は、休業したデイサービスの職員が利用者宅を訪問できる仕組みをつくりましたが、ただでさえギリギリの人員で運営している事業所の多くは体制はとれません。そのための介護報酬も高くありません。利用者へのサービス提供を途切れさせず、家族の負担増につながらない措置を早急に強める必要があります。

 デイサービスの休止・縮小に伴い、疲弊の度合いが増しているのは訪問介護です。担い手であるホームヘルパーはもともと慢性的な人手不足に悩まされていました。通所介護が使えなくなった新たな利用者に対応するためのヘルパー確保は困難を極めています。国は、緊急増員のための臨時の対応を真剣に検討すべきです。

 利用者を訪問する際、自分が感染させないか、あるいは感染しないか、とヘルパーの不安はぬぐえません。感染の疑いのある利用者を訪問する場合の対応などは、事業者任せにせず、国の責任で市町村や保健所が相談にのれる仕組みを急いでつくることが重要です。

 介護施設などでは、感染リスクを厳格に管理する必要があります。高齢者にきめ細かい行き届いた介護をするためには「密接」「密着」はどうしても避けられません。

 介護職員、利用者、施設入所者などへのPCR検査がしっかり行える体制を整えることが求められます。新型コロナへの対応をした施設や事業所への介護報酬による手当て、介護従事者への特別手当の創設も不可欠です。事業所の感染症対策の必要経費の補償も不可欠です。

制度のあり方が問われる

 感染への不安からサービス利用を控える人も生まれており、事業の維持・継続を見通せない事業所も少なくありません。コロナに伴う減収分の補償を行うべきです。

 安倍政権のコロナ対策で深刻な介護の現状を打開する方向がないことは大問題です。安倍政権の社会保障費削減のもとで介護保険制度は改悪の連続でした。いまの介護の危機は、弱体化していた仕組みがコロナに直撃されて顕在化したものです。今年は介護保険制度が始まってちょうど20年です。日本の公的介護のあり方そのものが改めて問われています。


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