2020年5月12日(火)
「ぶん殴るぞ」その直後
自民・山田議員の暴行 録音データ 本紙入手
被害者「まさか本当に」
自民党本部で2016年3月に開かれた会合後に自民党の山田俊男参院議員(73)から胸部を殴られたと証言した元全国農業協同組合連合会(JA全農)参事の立石幸一さん(62)。本紙は同会合の出席者が録音していた音声データを入手しました。(丹田智之)
|
この会合は加工食品の原料原産地表示義務の拡大について、生産者や食品事業者らの意見を聞く場として開かれました。
JAグループは、国産の農産物の消費を拡大し、消費者への情報を明確にするためにも原料原産地表示が必要だとして、義務化に賛成の立場で参加していました。他方、会合に途中から出席した山田議員は反対するかのような意見を述べたのです。山田議員は全国農業協同組合中央会(JA全中)の元専務理事です。傍聴していた主婦連合会参与の佐野真理子さんも「JA出身の議員とは思えない発言だったので驚いた」といいます。
|
立石さんは、山田議員が発言の中で示した事例が現実とは異なると指摘しました。山田議員は、この指摘を「暴言」だと捉えたといいます。
会合が終了した直後、山田議員と立石さんは言い争いになりました。音声データには、そのときのやり取りが録音されていました。
山田議員「(原産地表示を)全部やれっていうのか? なに言ってんだ、おまえさ」
立石さん「やり方は全部、あの、出していますから」
山田議員「なに言ってんだ。なに言ってんだ。なに言ってんだ、おまえ」
山田議員が激しい口調で立石さんを問い詰めている様子が分かります。会合が終わったばかりの室内には、議員と自民党関係者ら20人以上が残っていたとみられますが、次第にエスカレートします。
山田議員「本当にぶん殴るぞ」
立石さん「殴るって?」
山田議員「お願いしますの話では済まない」
立石さん「じゃあ、殴ってください」
その直後、衣服が擦れたような物音が残されていました。立石さんによると、こぶしで胸部を2回、強く殴打されたといいます。
「私も頭にきて平常心を失っていましたが、まさか本当に殴られるとは思わなかった」
立石さんは都内の医療機関で全治1週間の胸部打撲傷と診断されましたが、体の痛みは2週間ほど続いたといいます。