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2020年5月17日(日)

年金制度改定法案 倉林議員の質問(要旨)

参院本会議

 日本共産党の倉林明子議員が15日の参院本会議で行った、年金制度改定法案についての質問(要旨)は次の通りです。


 改定法案では、厚生年金の適用対象とすべき企業の対象を51人以上まで段階的に拡大するとしていますが、これは早期に実施することが求められていました。しかし、やるのは今でしょうか。

 新型コロナで、対象となる中小企業の経営環境は激変しています。雇用を守り、事業を継続させている小規模・中小企業に対し、新たに社会保険料負担を求めるというには、最悪のタイミングです。年金制度改定法案は撤回し、提案し直すべきです。

 本法案の問題点の第一は、75歳までの繰り下げ受給を選択すれば、本当に得になるのかという点です。

 確かに、受給額は1・8倍まで増えるものの、年収が増えれば税や医療・介護の保険料の負担も増加します。

 東京都新宿区在住の年金受給者は、85歳までの受給期間で比較した時に、65歳から受給した年金が月15万円なら住民税、所得税の総額は42万円。受給開始を75歳とした場合、受け取る年金は月27・6万円となるものの、負担総額は225万円と5倍を超えます。

 つまり、75歳まで受け取りを遅らせた場合、受給額は増えても、手取りの年金は65歳から受給した方が得だということになります。

 第二に、本法案は公的年金の水準を自動的に削減するマクロ経済スライドの維持を大前提にしていることです。

 この仕組みで、将来の基礎年金水準は3割削減されます。マクロ経済スライド終了後に75歳から年金受け取りを開始した場合の所得代替率は、現在の上限の70歳から受け取った場合よりも低くなるのではありませんか。

 受け取れる年金水準が減れば、生活できる収入を確保するために、感染リスクが高い高齢者も働き続けなければなりません。減らない年金制度への転換が必要です。マクロ経済スライドを停止すべきです。最低年金の底上げに踏み出すべきです。

 新型コロナ対応として年金生活者支援給付金を抜本的に拡充すべきです。合わせて最低保障年金制度の実現を求めるものです。

 第三の問題は、公的年金の削減を進める一方で、リスクを伴う確定拠出年金をさらに推奨していることです。

 コロナ経済危機の影響で、今後の株価の推移によっては、投資信託型の確定拠出年金を選択した年金受給者で「元本割れ」「運用利回りがマイナス」になる場合が想定されます。元本保証型を選択している人でも手数料の方が高くなりうるのではありませんか。

 安倍政権は、年金積立金の株式運用比率を拡大し続けてきました。今年の4月からは5年半ぶりに基本ポートフォリオを変更し、国内債券を10%減らし、外国債券を15%から25%に増やしています。株式運用比率拡大方針を見直し、リスクを下げる運用に転換すべきです。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が管理する年金積立金の資産構成に占める株式の割合を、まずは20%に戻すべきです。


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