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2020年5月20日(水)

アベノマスク

実績ない企業に30億円

「信頼して発注」と政府

 新型コロナウイルス対策として安倍晋三首相の肝いりで政府が配布し、「アベノマスク」とも呼ばれている布マスク。受注企業6社すべてが入札を経ない随意契約ですが、マスク事業の実績がない企業にも30億円超の発注をしています。その理由を追うと―。(丹田智之)


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(写真)布マスクを受注したユースビオの事務所=4月27日、福島市(福島県・野崎勇雄撮影)

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(写真)ユースビオが納入したベトナム製の布マスク

 厚生労働省のマスク等物資対策班(マスク班)によると、11日までの6社の契約額は、興和=約76・3億円、ユースビオ=約31・8億円、伊藤忠商事=約31・1億円、マツオカコーポレーション=約9・6億円、シマトレーディング=約3・1億円、横井定=約0・1億円です。

 政府は計466億円をかけて、福祉施設や幼児施設、約5000万の全世帯に布マスクを配布する計画です。

契約額2位には

 マスク班によると、契約額2位のユースビオ(福島市)はシマトレーディング(千葉県富里市)と共同で受注。ユースビオが原料となる布の調達、シマトレーディングが製造・輸入という形で3月16日に契約したといいます。両社とも、政府がなかなか社名を公表しなかった企業です。

 ユースビオ代表取締役の樋山茂氏は本紙の取材に、「価格は1枚135円で受注した。ベトナムから輸入した」といいます。

 ユースビオは2017年に創業した再生可能エネルギー原料の販売会社。資本金は1千万円で、NTTの電話番号案内には未登録です。シマトレーディングは植物の輸入商社。両社とも法人登記にマスク関連の事業は書かれていません。

 なぜ実績もない企業が突然、政府と30億円超の随意契約をすることができたのか―。

 マスク班の担当者は「社長さんからマスクの確保が可能だという話を聞いたので、サンプルを提供してもらいました。それ以前のやりとりはなかった。海外にネットワークを持ち、実績がなくとも信頼をして発注した」といいます。

 随意契約とした理由については、「迅速性を優先して緊急随意契約という形になった」(マスク班)としています。

 ユースビオはどうやって政府につながったのか―。

公明議員と親交

 樋山氏は、政府と契約する前から山形県に調達する予定で話が進んでいたとして、こう説明します。

 「山形県の職員から『国が一括して発注することになったので、経産省に連絡してください』と言われた」

 ところが、山形県の担当課長は、「県としてマスクの確保に動いていたのは事実ですが、ユースビオの社名が出たことはありません。もちろん国に同社を紹介した事実もない」と否定します。

 ユースビオの事務所には公明党のポスターがはってあります。15年には樋山氏が、同党の若松謙維参院議員の政治団体に12万円を献金していました。

 樋山氏は、若松議員と親交や献金があったことを認めたうえで、「3年前に国税庁に脱税を指摘されたことを契機に若松議員の後援会を辞めた。癒着など疑われるような関係は一切ない。口利きもない」と語りました。


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