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2020年5月27日(水)

米海兵隊F35調達54機 削減

それでも安倍政権“爆買い”か

コロナ危機 韓国も先送り

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(写真)着陸し、駐機場に戻るステルス戦闘機F35Bの編隊=12日、山口県岩国市の米軍岩国基地

 米海兵隊が主力戦闘機として位置付けているF35Bステルス戦闘機の調達計画を大幅に見直し、54機削減を提案していることが分かりました。新型コロナウイルスによる戦後最大級の経済危機の中、安倍政権による米国からのF35戦闘機105機の“爆買い”も問われます。

 米海兵隊が3月23日に発表した部隊計画案「フォース・デザイン2030」によれば、中国などを念頭に、「沿岸」での戦闘能力を強化。長距離砲撃能力や無人機などを強化する一方、F35については、「将来の部隊にとっての、F35の性能要求の明確な理解をいまだ持てていない」と述べた上で、乗組員の不足を直接的な理由として、1飛行隊あたりの機数を16から10に削減することを提案しています。F35Bが16機配備される飛行隊は9あるため、54機削減となります。岩国基地(山口県岩国市)に配備されている第121戦闘攻撃中隊にも16機配備されています。

 さらに、地上部隊の大幅な削減も提案。これに伴い、地上部隊を輸送するMV22オスプレイやCH53ヘリなどの部隊も削減するとしています。

 米海兵隊に深い人脈を持つ軍事社会学者の北村淳氏は、一連の背景をこう指摘します。「戦闘攻撃機やヘリは、海兵隊の“花形”である強襲上陸作戦に不可欠だが、中国を相手に、敵地に乗り込む同作戦を遂行することは難しいという認識がある。調達価格も維持費もとてつもなく高額なF35を削減することで、中国の海洋進出を防ぐ接近阻止戦術に不可欠な無人機・地対艦ミサイル・長射程ロケットの開発・調達に回そうと考えている」

 F35は「史上最も高額な兵器システム」といわれ、米国内でも配備の是非が問題になってきました。とりわけ、新型コロナをめぐって医療体制が問われ、軍事費削減を求める声が強まっています。こうした中で、海兵隊は組織の生き残りのため、“現実的”選択を取ろうとしています。

 米トランプ政権はF35の海外輸出を進めていますが、韓国でも、F35などの支払いを先送りし、新型コロナ対策として全世帯に支給する「緊急災害支援金」に充てています。

 一方、安倍政権は2018年、トランプ政権の要求に応じ、F35戦闘機105機の追加購入を決定。空軍仕様のAが63機、海兵隊仕様のBが42機で、防衛省は平均単価を116億円としていますが、F35Bの機体単価は132億円と割高です。既存の42機と併せて147機態勢を維持した場合、運用・維持費総額は6兆円を超え、日本の財政に深刻な影響を与えます。ただ、現時点で米政府は、FMS(対外有償軍事援助)に基づく日本へのF35の追加売却を正式承認していません。105機の爆買いは、ただちに撤回すべきです。


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