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2020年6月9日(火)

文化庁の2次補正予算案 どうみる

必要な一層の支援

現場に一刻も早く

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(写真)演劇・音楽・映画関係者共同の省庁への支援要請行動で要望書を手渡す俳優の渡辺えりさん(中央)=5月22日、衆院第1議員会館

 文化庁の第2次補正予算案が発表されました(一部スポーツ庁の予算を含む)。「文化芸術活動への緊急総合支援パッケージ」総額560億円です。新型コロナウイルスの感染拡大による政府の自粛要請で、音楽、映画、演劇、伝統芸能、舞踊などイベントや公演の中止を余儀なくされた分野への支援が盛り込まれたのは、関係者や支援者の要望をある程度反映したものです。

損失には程遠く

 しかし、2月末からイベントや公演が中止や延期となり、その損失は年内で6900億円になるとも言われており(5月末日現在、ぴあ総研調べ)、そうした額には程遠いものです。

 内容の中心は活動継続・技能向上などの支援で、フリーランス向け、小規模団体向けがあります。

 そのうちフリーランスへの支援は二つ。(1)稽古場の確保、研修資料(書籍やDVDなど)購入費、調査や制作準備にかかわる費用に対し、簡易な手続きで20万円の支援(2)より積極的に、動画配信など発展的な取り組みに対して上限150万円の支援―です。

 小規模団体向けには、動画などによる公演の収録・配信や、感染防止に配慮した練習など感染症対策に対応した新たな公演・制作の企画に上限150万円を支援します。

 中・大規模団体向けは、第1次補正の「文化芸術収益力強化事業」を拡充(50億円)し、1事業につき150万円~最大2500万円を支援します。しかしこれは、公演の動画配信や舞台裏ツアー、役者との交流など「コロナ後を見据えた新たな市場の開拓・事業構造改革」「新しい鑑賞環境の確立など収益力確保の取り組み」のために必要な経費を支援するというもの。

 全体として、これまで被った損失を補償するという考え方に立ったものではありません。

基金創設求める

 緊急事態宣言が解除されても、ライブハウスやミニシアター、劇場、ホールは通常の営業ができないため、支援を一定期間、継続する必要があります。演劇・音楽・映画の3団体による「#WeNeedCulture(我々には文化が必要だ)」は、こうした活動に対しても補てんできるよう、国費を投入した「文化芸術復興基金」の創設を求めています。超党派の文化芸術振興議員連盟も「国から1000億円」を投じ同基金創設を求める緊急要望を政府に申し入れました。

 5月に日本芸術文化振興会が「文化芸術復興創造基金」を創設しましたが、民間の寄付を募るものです。国が「自粛」を要請したのですから、国費を投入するのは当然の支援策です。日本共産党の吉良よし子参院議員は4日の参院文教科学委員会で、政府に国庫拠出も含めた基金の創設を強く求めています。

 なお、ライブハウスやミニシアター、民間小劇場は施設を持っているため、基本的な支援は中小企業庁の管轄で、現在、文化庁の支援は検討・調整中です。「文化の発信地」の役割を評価し、文化庁も支援をする必要があります。

 肝心なのは苦境に立たされている現場に一刻も早く支援を届けることです。雇用調整助成金も持続化給付金もいまだに必要な人に届いていません。第2次補正予算の支援策は、簡易な手続きで、すぐに届くことが求められます。

 (日本共産党学術・文化委員会事務局員 今井直子)


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