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2020年7月28日(火)

7月豪雨災害にかんする申し入れ

日本共産党国会議員団

 日本共産党国会議員団が27日、安倍晋三首相と武田良太防災担当相に提出した「7月豪雨災害にかんする申し入れ」の全文は次の通りです。


 7月3日からの梅雨前線の活動による大雨により、九州地方を中心に東北地方におよぶ広範囲にわたり死者・行方不明86人、住家の全半壊や浸水被害は1万6748棟など甚大な被害をもたらした(7月27日現在)。特に熊本県では熊本地震からの復興途上に新型コロナ感染症対策に追われる中での今回の豪雨災害という三つの困難が重なった、かつてない複合災害であり、被災者の生活と生業(なりわい)、地域経済の復興をすすめるうえで、これまでにない規模とスピードでの力強い支援策が切実に求められている。

 日本共産党国会議員団は、4日に災害対策本部を設置、地方議員などと協力して被災者、被災地の実情を把握するために努力してきた。コロナ感染症対策の渦中での被災であり、被災者、被災事業者、被災地域の再建・復興にとって、公的支援がとりわけ重要となっており、その点を見据えた国の支援が求められている。被災地では悪天候やコロナ対策によるボランティア受け入れの制約などにより、片付けをはじめとした作業は深刻な困難に直面している。

 被災者や被災事業者の「だれ一人あきらめさせない復興」のため、被災の実態に即した、県や地域による差をつけない支援を実施するとともに、以下の項目をすみやかに実現することを求める。

一、避難生活の改善に万全を期すこと

 1.避難所は被災者救援の拠点として機能できるよう、被災集落ごとに設置し必要な人員や生活に必要な食料等の整備をはかるとともに、自宅や作業場の復旧作業に必要な資材を配置すること。また、被災した地域の旅館やホテルを高齢者等の避難所として活用できるよう必要な復旧に対する支援をおこなうこと。

 2.避難所単位に在宅被災者の実態把握や必要な情報や、資材を届けることができるようにすること。また、在宅避難者に対して、食料や物資を届けるとともに、保健指導員を派遣するなど車中泊の被災者を含めた命と健康を守る手だてを尽くすこと。とくに、一時孤立し、行政から町場の体育館などに集団避難を誘導された集落の住民、指定避難所に避難せず浸水した家の2階で暮らし続けているなどの在宅避難者の、仮設トイレの設置をふくめたニーズを持続的につかみ、応えていくこと。

 3.温かい食事の提供や宅地内の障害物除去など、災害救助法を活用すれば実現できることや、医療費の窓口一部負担の免除等を改めて周知するとともに、現場で活用できない理由をつかみ早急に解決すること。被災者の負担軽減を図るため、義援金の差し押さえを禁止するなどの措置を講じること。

 4.女性、子ども、高齢者、障害者の現状を把握し、ジェンダー平等の視点にもたって、安心できる生活環境の整備を図ること。

二、住家まわりのがれき、土砂の片づけなど災害廃棄物の迅速な処理を可能とすること

 1.仮置き場の増設と受け入れ時間を拡大するとともに、軒先回収を徹底すること。仮置き場の悪臭や水質汚染防止など、環境対策をおこなうこと。

 2.片付けや掃除道具の不足が深刻であり、プッシュ型支援を強化するとともに、避難所や公的施設で道具の貸し出しができるようにすること。また、片付け作業のための仮設トイレを必要とされる数を設置すること。

 3.膨大な廃棄物を片付け・搬出をすすめるため、被災者を臨時職員として雇用することをはじめ、ボランティアが安心して参加してもらえる環境を検討・整備すること。

三、当面の住まいの確保を図り、住宅再建への公的支援を強化すること

 1.仮設住宅(借り上げを含む)については、コミュニティーの維持・形成を配慮するとともに、建設型は地域の業者と連携し木造住宅をすすめること。

 2.応急仮設住宅は、「(災害等により)自らの住居に居住できない」被災者に提供するものであり、必要とする被災者への提供を最大限おこなうこと。応急修理期間における活用については期限による打ち切りではなく、応急修理が終了するまでの入居を可能とすること。

 3.被災住宅の被害調査は、浸水や堆積土砂の深さなどだけで画一的におこなうのではなく、床材、壁材、断熱材や水回りの衛生設備の機能喪失など住家としての機能喪失を正確に反映したものとすること。被災者生活再建支援法の支給金額を引き上げるなど必要な拡充をおこなうこと。罹災(りさい)証明書発行後の再調査が可能であることの住民への周知と、再調査に積極的に応じること。「一部損壊(準半壊)」について災害救助法の応急種類の対象を拡大したことを周知徹底すること。

四、生活と生業の再建に必要とされる支援をおこなうこと

 1.復旧の見通しや支援メニューを被災者に周知するとともに、ワンストップの相談窓口を設置すること。

 2.観光・中小事業者などの被害状況の把握を急ぎ、グループ補助金や被災事業者向け小規模事業者持続化補助金のすみやかな適用と実情に即した補助の上乗せ等をおこなうこと。グループ補助金については、個別にも補助金を受けられるようにすること。

 3.コロナ対応の持続化給付金、雇用調整助成金、税・保険料・公共料金等の減免などを豪雨災害の被災事業者に追加実施するなど、営業を続けられるようにするための直接支援をおこなうこと。

 4.農林水産業が、災害を機に廃業を余儀なくされることがないよう、事業の再開に踏み出せる対策をおこなうこと。農地復旧の支援や、農業用ハウス・農業用機械等の再建・修繕に対する補助をすみやかに実施すること。その際、被災事業者等の負担を軽減すること。また、海域への流木等の漂流物の早期回収・処分をおこなうこと。

五、生活道路の復旧や二次災害防止に万全を期すこと

 1.河川堤防の破壊や土砂崩れ、ため池損壊などが数多く発生しており、今後の気象状況により住民に新たな危険をおよぼすことがないよう、緊急に危険箇所の総点検と対策を講じるとともに、住民への周知と避難体制を整備・確認すること。

 2.住民の生活道路や鉄道の復旧を急ぐとともに、生徒・学生の通学の足を確保すること。JR線など鉄道については、地域経済を支えるインフラとしての機能を有しており、早期復旧を図ること。災害を理由にしたJRの復旧に対する責任放棄は断じて認めないこと。甚大な被害を受けた第三セクターのくま川鉄道、肥薩おれんじ鉄道の復旧費用は、国と自治体で全面支援をおこなうこと。

六、自治体に対する支援に万全を期すること

 激甚災害(本激)の指定を速やかにおこなうとともに、復旧事業や被災者支援にかかわる人材の派遣、国の権限代行による復旧事業の推進を図ること。国庫補助や復旧事業や被災者支援等の単独事業に係る自治体負担の軽減や自治体の裁量で運用できる財源の確保を図ること。


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