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2020年9月9日(水)

自公政権 生活保護来月から減額

コロナで困窮者増なのに

強行は47施策に悪影響

図
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 安倍自公政権は2018年10月から段階的に減額してきた生活保護費のうち食費や光熱費など「生活扶助」の支給額について、来月に予定通り減額を実施します。新型コロナウイルス感染拡大の影響で生活困窮する人が増える中、「なぜいま減額するのか」と関係団体は批判の声を上げています。(岩井亜紀)

 厚生労働省は生活扶助の基準額を5年に1度見直しており、生活保護水準未満の世帯を多く含む低所得世帯の消費支出とバランスを取るとして、支給額の削減を決めました。同省はこの削減によって保護利用世帯の67%が減額となり、国と地方が負担する生活保護費計約210億円の削減につながると17年に、試算。18年10月から段階的に減額を実施してきました。

 新型コロナ感染拡大の影響で、8月末に解雇者が5万人超となるなど雇用情勢の先行きは厳しくなるいっぽうです。そうした中、生活保護の申請件数は3月、対前月比で約5000件増加し、4月は、同460件増となりました。1人当たり10万円の特別定額給付金の支給決定後の5月は、同約3500件減に転じ、6月も同約900件減小しました。

 申請件数は減少したものの、保護利用世帯数は4月から6月にかけて微増傾向で、生活困窮が解消されていません。

 12年末に発足した安倍自公政権は、生活保護削減を強行してきました。13年8月から15年4月にかけて段階的に保護費減額を実施。これに対して全国の保護利用者が、生存権を規定する憲法25条違反だとして減額処分取り消しを求める「いのちのとりで裁判」を展開しています。安倍自公政権はそのさなかの18年10月から、新たに段階的な減額を行い、今年が最後の年となります。

 生活扶助基準はナショナルミニマム(最低生活水準)で、国民生活の土台となるもの。厚労省自身、医療・福祉、年金など47施策で悪影響が出ることを、18年1月に明らかにしています。

1万人の不服審査請求を

写真

(写真)前田美津恵さん

 全国生活と健康を守る会連合会の前田美津恵副会長の話 第2次安倍政権は発足後、生活保護費の減額を強行してきました。利用者は、夏場は電気代がかさむためクーラーをつけない、下着など衣類の買い物ができない、友人との付き合いを控えるなど基本的な人間らしい暮らしを制約されてきました。

 利用者だれもが厳しい生活を余儀なくされているうえ、新型コロナウイルス感染症予防で消毒や衛生関係の出費がかさんでいます。にもかかわらず、さらに減額を強行することに憤りを感じます。

 2013年8月からの保護費減額に対しては、全都道府県で1万人超の利用者が不服だとして、審査請求をしました。今年10月からの減額に対して、全生連は1万人の審査請求を呼びかけます。

 「いのちのとりで裁判」をめぐり、名古屋地裁が6月に出した判決は、安倍政権に忖度(そんたく)するような判断でした。保護費改定にあたっては「国民の感情、政権与党の公約、他の政策等を広く考慮する必要」があるとして、原告の訴えを棄却したのです。

 安倍政治を終わらせるためにも、名古屋地裁判決をはね返すうえでも、今回の審査請求運動を盛り上げていきたい。


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