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2020年9月27日(日)

主張

杉田議員の暴言

どこまで尊厳踏みにじるのか

 自民党の杉田水脈衆院議員が、性暴力被害の相談事業などがテーマになった党内の会議で「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言しました。性暴力に苦しむ被害者をおとしめ、女性を侮辱する許し難い暴言です。性暴力の根絶を願って自らのつらい被害体験について勇気をふるって語り始めた女性たちを深く傷つけ、尊厳をあからさまに踏みにじるものです。杉田議員は、かつてLGBTs(性的少数者)を侮蔑し、批判を浴びました。政治家としての資格がないのはいよいよ明白です。議員を辞職すべきです。

被害者に沈黙を強いる

 杉田議員の発言は、自民党の内閣第一部会・第二部会合同会議(25日)でのものです。内閣府が女性政策をはじめ2021年度予算の概算要求について説明し、性犯罪・性暴力被害者が直ちに相談でき必要な支援を受けられる「ワンストップ支援センター」増設の方針などが示されました。杉田議員の発言は、その質疑の中であったと報道されています。同議員は会議後、「そんなことは言っていない」と述べましたが、会議に出席した複数の関係者は、発言があったことを認めています。

 杉田議員の発言が深刻なのは、性暴力被害にあった女性たちを再び傷つけ、追い詰め、沈黙を強いるものだからです。被害者が悩みに悩み抜いて勇気を出して相談しても、証言が疑われる場合が少なくありません。信用されないことを恐れて泣き寝入りし、被害が顕在化せず温存される悪循環が大きな問題になっています。

 いまだ社会に根深くある偏見や性差別をただすことが政治に求められる役割なのに、被害者に向かって「うそをつける」などと心ない言葉を投げつけることは、到底許されません。

 杉田議員は、自ら受けた性暴力被害を告発したジャーナリストの伊藤詩織さんを誹謗(ひぼう)中傷するツイッターに賛同を示す「いいね」を押し、伊藤さんから損害賠償を求める裁判も起こされています。旧日本軍「慰安婦」問題でも、女性たちへの性被害は「ねつ造」であるかのような不当な攻撃をしています。女性の人権と尊厳を奪った行為を肯定し、痛みを感じない態度はあまりに重大です。

 性暴力被害の根絶をめざす取り組みが、世界的な「#MeToo運動」として大きなうねりとなり、日本では、「フラワーデモ」が各地で広がっています。性暴力被害にあった当事者たちが胸に秘めてきた痛切な思いを声に出したことが、政治と社会を動かし、歴史を前に進める大きな力へ発展しています。声を上げる被害者を侮蔑する杉田議員の発言は、世界の流れにも完全に逆らうものです。

自民党の姿勢が問われる

 杉田議員は2018年、LGBTsカップルに「生産性」がないなどとする差別的な暴言を月刊誌に寄稿し、国民の怒りをかいました。しかし、同議員は暴言を撤回せず、自民党は形ばかりの「指導」でうやむやにしました。今年1月の衆院本会議では、選択的夫婦別姓導入を求めた野党議員の質問時の杉田議員のやじが大きな問題になりました。自民党は、人権侵害の言動に無反省な杉田議員を不問にし続けるのか。17年総選挙で比例中国ブロックに同氏を擁立した同党の責任が厳しく問われます。


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