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2020年9月28日(月)

表層深層

自助・共助・公助の源流

 インターネットの国会会議録検索システムで「自助 共助 公助」と入力して国会議員で最初にヒットするのは、1994年の社会党の糸久八重子参院議員です。ただし順番は「公助、共助、自助」。同年、厚生省の「高齢社会福祉ビジョン懇談会」が社会保障の在り方として「自助、共助、公助」を提言したのに対し、公助を軸とした高福祉社会を提案した質問でした。

 一方翌年、公明党の桝屋敬悟衆院議員は「高福祉高負担の社会は選べない」との言葉に続けて、厚生省懇談会の言葉を借りて「自助、共助、公助」を強調。同氏はその後、森政権、小泉政権、第2次安倍政権の厚労副大臣として社会保障破壊の先頭に立ちました。

 2000年代に新自由主義が吹き荒れるようになると「自助、共助、公助」はいっそう出番が増えます。小泉政権が官邸に設けた「社会保障の在り方に関する懇談会」は、自助を基本にするのが「成熟した国家の姿」だと提言。構成員の財界人は「社会保障分野の就業者が増えれば日本のトータルとしての経済力が弱くなる」と決めつけ、内需喚起や雇用創出といった歴代自民党政権も認めてきた社会保障の経済効果を否定しました。

 第2次安倍政権はこの思想を過激に引き継ぎます。15年の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)は、社会保障を歳出削減の「重点分野」と位置づけるとともに、社会保障給付を抑制すれば消費や投資が増え「経済成長にも寄与する」と明記しました。

 新型コロナ危機で自己責任では乗り越えられない事態が広がるもとで「自助、共助、公助」を強調した菅義偉首相―。その源流をたどると、「国民の暮らしを守り、よくする」ため公の責任を果たすという政治の仕事を否定して「自助」を強調する本音がいっそう鮮やかに浮かび上がります。(佐久間亮)


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