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2020年10月22日(木)

きょうの潮流

 炊きたてのあったかいご飯、パリパリの焼きのり、みそ汁。国内外を食べ歩いた作家の椎名誠さんが、自身の「最後の食事」にその三つをあげています(『おなかがすいたハラペコだ。』)▼ようやくたどりついた人生の結論のような味。それは自宅の「あさめし」だったと。私たちにとって実りの秋は、改めて食のありがたみを感じる季節。一方で、日本は「食品ロス」大国の一つ。毎年600万トンをこえる食べ物が捨てられています▼これは国民1人当たり、毎日茶わん1杯分のご飯の量を捨てている計算です。食料の多くを他国に頼っているにもかかわらず、大量に廃棄する矛盾。そこには、いま地球上で7億もの人びとが飢えに苦しんでいる現実のひずみもあります▼「食品ロス削減月間」の今月。ノーベル平和賞を贈られた国連世界食糧計画(WFP)は、食品ロスと飢餓ゼロをめざすキャンペーンにとりくんでいます。1961年に創設されたWFPは昨年、88の国と地域の1億人近くに緊急物資や食料を届けました▼毎日最大5600台のトラック、30隻の船、100機の飛行機を動かし、辺境の地や困難を伴う地域に物資を支援しています。気候変動やコロナ危機のもとで、その活動の重みはますます大きい▼近年、世界の食料不足は深刻さを増しています。拡大する対立や格差に歯止めをかけ、公正で平和な新しい国際社会をつくるために手を携える。それが貧困や飢えから人びとを救い、人類の未来を救うことにつながるはずです。


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