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2020年11月8日(日)

主張

菅政権の経済政策

日本経済再生の見通しがない

 菅義偉政権が発足して1カ月余り、臨時国会での論戦が続いていますが、深刻な新型コロナウイルス危機の下での日本経済の低迷を再生する手段も見通しも示されていません。2019年の消費税増税に続くコロナ禍によって、日本経済は低迷し、消費が伸び悩み、労働者の雇用や中小企業の経営も苦しさが加速しています。

 安倍晋三前政権の経済政策「アベノミクス」を継承・発展というだけで、雇用にも経営にも再建の具体策がない菅政権の経済政策では、国民の暮らしも営業も立て直せません。

「コロナ恐慌」の懸念

 6日発表された総務省の家計調査報告では9月の勤労者世帯の消費支出は前年同月比で10・2%の落ち込みとなりました。12カ月連続の消費の低迷です。同じ日に厚生労働省が発表した9月の毎月勤労統計調査でも、勤労者の収入は前年同月に比べ、0・9%の落ち込みとなりました。

 これまで発表された総務省の労働力調査や民間信用調査会社の企業倒産統計でも、就業者の減少・完全失業者の増加や、中小企業などの倒産の増加が浮き彫りになっています。

 日本経済の現状は文字通り、放置すれば「コロナ恐慌」を引き起こしかねない戦後最悪の状況です。衆議院本会議の代表質問(10月29日)で、日本共産党の志位和夫委員長は、こうした経済状況への認識を菅首相にただしました。首相は「厳しい状況にある」とは認めるものの、志位委員長が挙げた休業支援金や家賃支援金など政府の直接支援の継続などには後ろ向きで、減税や中小業者への納税免除は受け入れません。「自助・共助・公助」「まずは自分でやってみる」ことを強調するばかりです。

 安倍前政権の経済政策「アベノミクス」は、経済を再生するどころか、大企業や大資産家のもうけを増やしただけで、貧困と格差を拡大しました。深刻な消費不況を引き起こした消費税の増税は、悪政・失政の最たるものです。

 「自助・共助」を強調する菅政権の経済政策も、「アベノミクス」に輪をかけて国民を苦しめる危険が大です。菅政権が立ち上げた成長戦略会議(議長・加藤勝信官房長官)では中小企業への支援が「新陳代謝」を困難にしていると、「淘汰(とうた)」や「再編」を議論しています。これでは、貧困と格差拡大はますます激しくなります。

 菅政権は臨時国会の閉幕後、来年度の予算編成と合わせ、第3次補正予算案の編成など、経済対策を打ち出すといわれています。しかし、国民に「自助・共助」を求める「自己責任」を押し付けるというのなら、国民の暮らしはとても成り立ちません。国民の暮らしを立て直すことを第一にした経済政策への転換が不可欠です。

政府は公の責任を果たせ

 政治の仕事は国民に「自助・共助」を迫る政策ではなく、「公助」の強化です。公的な支援を行うことで、国民の暮らしを守り、よくするための公の責任を果たすことです。労働者や中小企業への直接支援はもちろん、国際的にも実行されている消費税の減税などに踏み切るべきです。菅政権の強権ぶりをあらわにした日本学術会議会員の任命拒否を撤回させるとともに、経済政策の転換を求めて世論と運動を強める時です。


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