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2020年12月18日(金)

介護の疲弊打開遠く

21年度改定 報酬0.7%引き上げ

 田村憲久厚生労働相と麻生太郎財務相は17日、2021年度予算編成に向けた閣僚折衝で、同年度以降の介護報酬を0・7%引き上げることを決めました。ただし、そのうち0・05%分は、新型コロナウイルス対応分として21年9月末までの時限措置。度重なる報酬引き下げやコロナ危機による現場の疲弊を打開するには、程遠い水準です。

 介護報酬は原則3年に1度見直します。2000年の介護保険制度開始以来、6回中4回はマイナス改定(実質含む)でした。なかでも安倍前政権は15年度改定で、過去最大の実質4・48%引き下げを強行。介護事業所の倒産件数が急増し、16~20年の5年連続で100件超に達しています。(民間調査会社・東京商工リサーチ調べ)

 厚労省の調査では、19年度の介護事業所の平均収支差率(利益率)が過去最低を記録。コロナ危機を受けた緊急調査では、利用控えによる収入減や、衛生用品など物件費の値上がりによる支出増で、感染拡大前より収支が「悪くなった」が、今年5月時点で約5割、10月時点で約3割に上っています。

 今年の介護事業所の倒産件数は、12月初め時点で112件と、介護保険制度下で過去最多。東京商工リサーチは「(コロナ対策の)追加支援や2021年度の介護報酬の改定状況によっては、倒産や休廃業・解散がさらに加速する可能性も」と指摘していました。

 介護関係者から基本報酬の抜本引き上げを求める声が相次ぐ一方、財務省は、コロナは「収支差に大きな影響は及ぼしていない」と、報酬引き上げを否定していました。

 厚労省は、一定額以上の利用料を払い戻す高額介護サービス費や、低所得の施設入所者の食費・居住費を補助する「補足給付」については、来年8月から負担増を「実施する」としました。


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