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2020年12月20日(日)

全国革新懇シンポ

新自由主義から転換する新しい政権を

志位委員長の発言

 19日に全国革新懇が東京都内で開いたシンポジウム「コロナ危機をのりこえる新しい社会をめざして」で、日本共産党の志位和夫委員長が行った発言(要旨)は次の通りです。


写真

(写真)発言する志位和夫委員長=19日、東京都千代田区

 政治の場で働いている者として二つお話ししたいと思います。一つは、コロナ危機を乗り越えるために政治は何をなすべきか、ということです。もう一つは、コロナ危機を乗り越えた先に、どういう日本をつくるか、ということです。

コロナ危機を乗り越えるために政治は何をなすべきか

 今、感染拡大の「第3波」が大変深刻で、医療の逼迫(ひっぱく)が起こり、医療崩壊が始まりつつあります。私は、安倍・菅政権のコロナ対応には二つの致命的な欠陥があり、この根本的転換が必要だということを訴えたいと思います。

科学の無視――「検査・保護・追跡」の抜本的拡充を

 第一の欠陥は、科学の無視です。

 その象徴がPCR検査の異常な遅れです。人口当たりのPCRの検査数で、日本は世界で149位。コロナの厄介なところは、無症状の感染者が感染を広げてしまうところにあります。ところが、政府は、無症状感染者を把握・保護する検査戦略をもっていません。「クラスター対策」といいますが、これは有症者を中心とする感染集団を見つけて、そこからさかのぼって接触者を追跡するという「点と線」の対策です。これでは無症状感染者は把握できません。

 では、どうするべきか―。共産党は二つの点で検査の抜本的な拡充が必要だと訴えてきました。

 一つは、感染集積地(エピセンター)を明確にして「面の検査」を行うことです。住民や働く人の網羅的検査をしっかりやる。

 先日のNHKスペシャルで、東北大学大学院の中谷教授が作成した「新型コロナ時空間3Dマップ」が紹介されました。どのように感染が広がったかが一目瞭然でわかる。東京都心、名古屋市、大阪市などで「感染の核」が形成され、そこから感染が飛び火しています。政府として感染集積地を明確にして、人の移動を制限しつつ、「面の検査」で制圧する必要があります。

 もう一つは、医療機関・高齢者施設等への「社会的検査」です。

 東京・世田谷区では204の介護施設で3600件の社会的検査を行い、53人の陽性を確認しましたが、ほとんどが無症状です。保坂展人世田谷区長は「もし社会的検査に取り組んでいなかったら、無症状の感染者から感染がまん延し、手に負えない状況になっていたかもしれません」と述べています。

 政府もわが党の提起を否定できなくなり、全国各地の自治体で「社会的検査」が始まっています。ただ、大きなネックは、検査費用の半分は自治体もちとなっていることです。自治体がちゅうちょなく行えるようにするために、全額国費で検査を行うようにする必要があります。

 「検査・保護・追跡」という感染症対策の科学的鉄則にたった施策を抜本的に拡充することを強く求めていきます。

「自己責任」――医療機関への減収補填、「自粛と一体に補償を」

 第二の欠陥は、「自己責任」の押し付けです。

 「自助・共助・公助」「まずは自分でやってみる」。ここまであからさまな「新自由主義」の「自己責任」論を説いた首相はいませんでしたが、コロナ対応も新自由主義でやろうとしています。

 二つの具体例を上げたいと思いますが、一つは、医療機関への減収補填(ほてん)を拒否し続けていることです。

 緊急包括支援交付金2・7兆円(医療分)のうち、0・8兆円しか現場に届いていません。交付金が、新たな設備整備、空床確保への財政支援で、医師・看護師の体制確保や処遇改善の事業ではないからです。人件費支援にお金を届けるためには、減収補填がどうしても必要です。加えて、すべての医療従事者に対して政府の責任で特別手当の支給をする必要があります。

 さらに、雇用と営業にかかわっては、「自粛と一体に補償を」という原則を拒み続けてきました。

 持続化給付金、家賃支援給付金も一度きりで、年内で打ち切る方針です。業者からは「年を越せない」「諦めてしまう」との怨嵯(えんさ)の声があがっています。

 国民は、十分「自助」をやっています。自粛の要請に応えて、業者のみなさんはがんばっています。ただ、補償はやっていない。この問題を解決しなければいけません。

「新しい日本をつくる五つの提案」

 菅政権発足から3カ月がたちました。安倍政権と対決し、「戦後最悪の政権」と批判してきましたが、より強権的で、冷酷な政権があらわれました。

 次の総選挙は、この政権を倒して、政権交代を実現し、新しい政権、野党連合政権をつくる選挙にする必要があります。

 共産党は2中総で、「新しい日本をつくる五つの提案」を提唱しました。五つの柱、20の項目からなります。この提案をまとめあげるうえで、二つの点に留意しました。

 第一は、新型コロナの体験から得た教訓を踏まえて、新しい日本を構想することです。

 この点では○新自由主義から転換し、格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治をつくる○地球規模の環境破壊を止め、自然と共生する経済社会をつくる○ジェンダー平等社会の実現、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治―を提案しています。

 第二は、安倍・菅政権がつくった負の遺産を一掃し、政治の抜本的刷新をはかることです。

 この点では○憲法を守り、立憲主義・民主主義・平和主義を回復する○覇権主義への従属・屈辱外交から抜け出し、自主・自立の平和外交に転換する―を提案しています。

共通政策、政権協力で合意してこそ、選挙協力に「魂」が入る

 「五つの提案」の内容の多くは、すでに野党間で一致があるものです。これを一つのたたき台にしていただいて、野党の共通政策をつくっていきたい。そして、共通政策を実行する新しい政権――野党連合政権を、協力してつくるという合意に進むために力を尽くしたいと思っています。

 選挙協力も、それらとセットで取り組んでこそ、初めて「魂」が入ったものになると思います。国民に「政治は変えられる」という希望を届けてこそ、情勢の大きな変動をつくることができると思います。そうした方向に進むように最大限の努力をしたいと決意しています。

 同時に、日本共産党自身の躍進の大きなうねりをつくる。その努力を今、始めているところです。


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