しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年1月7日(木)

「大阪は感染急拡大抑えている」吉村知事発言 物議醸す

病床逼迫・死亡者急増なのに

 「大阪では、感染急拡大をなんとか抑えている」。新型コロナをめぐる大阪府の吉村洋文知事(大阪維新の会代表)の発言が「ナゾの“強気”発言に府民怒り心頭」「重症者数は過去最多」(「日刊ゲンダイ」6日付)など物議を醸しています。

 東京都など首都圏1都3県が「緊急事態宣言」の再発令を国に要請したことについて、吉村知事は「今の段階において要請するつもりはない」と記者会見などで繰り返し表明。「大阪では、府民、事業者の皆様のご協力で感染急拡大をなんとか抑えています」(ツイッター)と強弁しています。大阪市の松井一郎市長も「首都圏は増加に歯止めがかかっていないが、(大阪は)ゆるやかに減少」(4日の記者会見)と首都圏との状況の違いを強調し「(大阪では)ブレーキを少しゆるめる。経済も回していかないと」と楽観的な見通しを示しました。

感染過去最多

 菅義偉首相も「北海道、大阪など(飲食店の)時間短縮をした場所は効果が出て陽性者が減少している」(4日の記者会見)などと大阪でのコロナ対策が効果を上げているかのように述べました。

 しかし、大阪府の5日の感染者は新たに394人。6日には560人とはじめて500人を超え過去最多となりました。なかでも重症者が多く、5日は過去最多だった前日より10人減ったものの161人(過去最多を記録した東京都111人の1・45倍)。重症病床の確保数(236床)に対する使用率は68・2%。すぐ使える病床(208床)の運用率は77・4%と逼迫(ひっぱく)しています。

 新たに7人が死亡し府内の累計死亡者数は619人となり、東京都の648人に迫っています。特に大阪府の死亡者は急増し、昨年12月は259人と東京都の1・8倍。とても「抑えている」と言える状況ではありません。医療・高齢者施設がクラスター(感染者集団)の8割を占め、死亡者の5割が医療・高齢者施設での感染であり、社会的PCR検査は切実です。

 吉村知事が「1日最大2万件」への拡大を打ち出した検査は5日も6933件(前日比4462件増)にとどまりました。陽性率は5・7%。感染経路がわからない人は52%を占めました。PCR検査の抜本拡充が求められているのに、大阪市内の地域外来・検査センターの設置は4カ所のままです。

 大阪市内全域に広げた時短要請に対する協力金は「すずめの涙」(飲食店)で、「協力金はあくまで医療崩壊させないため。支援はほんらい国の責任」(松井市長)という姿勢です。

住民投票優先

 その一方で、「(大阪市を廃止・分割する)『大阪都』構想は否決になったが、府市一体になって成長できる仕組みづくりに、しっかり取り組む」(吉村知事、4日の大阪新年互礼会)とあくまで“制度いじり”に固執。コロナ対策よりも住民投票(昨年11月1日投開票)を優先し、否決されてもなお「広域行政一元化条例案」「8区総合区案」を2月府・市議会に提出しようとしている維新に対し、「いまこそ府・市民の命、くらし・営業を守る政治への転換を」との声が強まっています。(辺)


pageup