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2021年2月5日(金)

森氏の女性蔑視暴言

ジェンダー平等への低い感度

 森喜朗氏の「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」という発言は、明確な女性差別、女性蔑視の発言です。「女性の発言時間を制限する必要がある」に至っては「女は黙っていろ」というに等しく、同氏の抜きがたい男尊女卑思想を表すとともに、民主主義の根幹にもかかわる暴言です。

 五輪憲章はあらゆる種類の差別を禁止し、男女平等の原則の完全実施をうたっています。これに真っ向から反する発言をした人物に、大会組織委員会会長を務める資格がないことは明白です。森氏は会長を辞任すべきです。

 森氏は4日の「謝罪会見」で、「オリンピック・パラリンピック精神に反する不適切な発言であった」と述べ、「深い反省」と「撤回」を表明しましたが辞任は否定しました。居座りが許されると思っている時点で、自らの発言の何が問題だったのかを理解する力も、意図も、ないのだと言わざるを得ません。

努力に水差す

 いま国際社会は、意思決定の場に女性の参加を増やす努力を積極的に行っています。日本は政治・経済の分野で指導的地位に女性が占める割合が極端に低く、ジェンダーギャップ指数で121位と世界の中でも圧倒的な後進国です。その遅れを取り戻そうとする努力に水を差し、嘲笑するような森氏の発言は、公人として許されるものではありません。

 同時に、これは森氏個人の問題にとどまりません。報道によると、森氏のこの発言に対し、会場では笑いが起きたといいます。誰もその場でいさめる人がいなかったとすれば、日本オリンピック委員会自体の、五輪憲章の精神への理解が問われます。

 森氏は4日の会見で「女性の理事を増やすと、会議の運営が難しくなるという話を、さまざまな協会や連盟から聞いている」と、“伝聞”だという釈明を繰り返しました。本当にそのような会話が男性幹部らの間で日常的に交わされているのだとすれば、日本のスポーツ界あげてジェンダー平等に対する重大な認識不足があると言わなければなりません。

 さらに、菅政権の態度も問われます。菅義偉首相は4日の衆院予算委員会で、「森会長が発言した内容の詳細については承知しておりません」と答弁し、「スポーツ分野においても女性の社会参画は大事」と一般論で逃げようとしました。発言を読み上げられると「あってはならない発言だ」と述べたものの、森氏に辞任を求めるべきだとの指摘には答えませんでした。森氏の発言は、すでに海外の主要メディアが報じており、「発言の詳細」は当然入手し、政府としてしかるべき対応をとるのが当然です。それすらしないというのは、ジェンダー平等や五輪憲章の精神に対する驚くべき感度の低さです。

過去にも暴言

 そもそも、森氏は過去にも「日本は神の国」、「子どもを一人もつくらない女性の面倒を、税金でみなさいというのはおかしい」など、数々の暴言を行ってきた人物です。安倍晋三前政権が、そのような人物を総理経験者だということで持ち上げ、結果として組織委員会のトップにすわったこと自体が間違っていたのではないでしょうか。

 日本の政治の遅れた姿が、改めて世界にさらされました。同時に、SNS上で「#森喜朗氏は引退してください」「#わきまえない女」などのハッシュタグをつけて、多くの女性、男性らが機敏に声をあげたところに社会の進歩も感じています。ジェンダー平等後進国を抜け出すために、さらに声をあげ、政治を変えなければとの決意を新たにしました。(日本共産党ジェンダー平等委員会事務局長 坂井希)


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