しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年2月19日(金)

ワクチン接種と感染対策の基本的取り組みを同時並行で

志位委員長が提起

 日本共産党の志位和夫委員長は18日、国会内で記者会見し、新型コロナウイルスのワクチンの接種開始にあたって、現時点で求められる課題について次の4点を提起しました。


写真

(写真)記者会見する志位和夫委員長=18日、国会内

1、ワクチンの安全性・有効性、副反応などのリスクについて、迅速・徹底的な情報公開を

 国民のなかには新型コロナの収束への有力な手段としてワクチンへの期待がある一方、不安の声も少なくありません。

 ワクチンの安全性・有効性、副反応などのリスクについての国内外のデータを、迅速かつ徹底的に国民に明らかにしていくことを求めます。

 「特例承認」を決めた薬事・食品衛生審議会をはじめ、ワクチンの選定・承認にかかわるすべての会議の議事録・資料などをすみやかに公開することも不可欠です。

 ワクチン接種は、あくまでも個人の自由意思で行われるべきであり、接種の有無で差別することは絶対にあってはなりません。

2、「ワクチン頼み」で感染対策がおろそかになれば大きな失敗に陥る

 ワクチンは感染収束への有力な手段ですが、未知の問題を多く抱えています。

 厚生労働省も、ワクチンによる発症予防効果は臨床実験で確認されたが、感染予防効果については「明らかになっていない」としています。ワクチンの効果が長期にわたって続くかどうかもわかっていません。変異株のなかには抗体がきかない「逃避変異」もあるとの指摘もあります。ワクチン接種が始まっても、社会全体での効果が確認されるにはかなりの時間がかかるというのが、専門家の一致した指摘です。

 ですから「ワクチン頼み」になって、感染対策の基本的取り組みがおろそかになったら、大きな失敗に陥ることになります。

 この点で、現在、新規感染者数の減少に伴って、検査数も減少していることは、大きな問題です。新規感染者数が減少し、検査のキャパシティー(能力)に余裕ができたいまこそ、検査によって感染を抑え込むことが重要となっています。

 わが党が一貫して求めてきたように、無症状感染者を含めた検査の抜本的拡充、医療機関への減収補填(ほてん)、十分な補償など、感染対策の基本的取り組みを、同時並行でしっかりと行うことが、いよいよ重要です。

3、自治体と医療体制への支援の抜本的強化を

 ワクチン接種の実務を担うのは自治体です。自治体は、感染対策の基本的取り組みと、ワクチン接種という二つの大事業を担うことになります。ところが、それをささえる必要な体制があるとはいえません。

 とくに医療体制の確保は、最大の課題となっています。「産経」が都道府県庁のある全国47の市区に行った調査では、その9割の自治体が、接種を担う医師・看護師を確保する「めどがたっていない」と回答しています。

 二つの大事業を担う医療体制の確保のためにも、地域の医療機関の全体に対する減収補填が今こそ必要です。医療従事者に対して思い切った待遇改善をはかり、約70万人といわれる潜在看護師の方々にも協力を求めていくことが必要です。

 「ワクチンがいつ、どれだけの量が届くか」は自治体が最も知りたい情報ですが、これがさだかではありません。自治体への迅速で正確な情報伝達、財政支援の大幅な拡充を求めます。

4、世界的な「ワクチン格差」の解消のため、積極的役割をはたす

 貧困問題に取り組む国際団体オックスファムは「世界人口の13%にすぎない先進国がワクチンの51%を独占している」とし、このままでは感染が起こっている67の国・地域で、9割の国民が今年中に接種を受けられない恐れがあると警告しています。

 パンデミックを終わらせるには、世界のすべての地域でウイルスの脅威をなくすことが不可欠です。空白の地域があったらパンデミックは終わらないのです。各国の財力にあかした「ワクチン争奪戦」ではなく、ワクチンが平等に供給される国際的な仕組みの確立が必要です。

 新型コロナのワクチン普及に取り組む国際的枠組み「ACTアクセラレーター」の試算によれば、途上国へのワクチン供給には2021年末までに5000億円超が必要とされます。日本の軍事費は年5・4兆円です。世界の核兵器保有国が核兵器のために支出している予算は年7・6兆円です。これらの一部をまわしただけでも途上国へのワクチン供給は可能です。

 この面でも日本政府が積極的役割を果たすことを求めるものです。


pageup