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2021年3月6日(土)

主張

緊急事態の再延長

従来型の対策では打開できぬ

 菅義偉政権は、東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県に発令中の緊急事態宣言を再延長しました。7日までの期限を21日までにします。首都圏では新型コロナの新規感染者数の減少ペースが落ち、病床ひっ迫も予断を許さない状況が続いています。宣言を解除すれば感染再拡大に転じる危険も指摘されています。一方、営業時間短縮に協力してきた業者からは落胆の声が上がります。しかし、首相は、国民に一層の努力を求めるばかりで、これまでの不十分なやり方の基本を変えようとしません。事態打開のためには、従来の対策の根本を改めることが急務です。

首相の決意の根拠みえず

 4都県の緊急事態宣言は1月8日に始まりました。2月初めに3月7日まで延長を決めたものの、感染状況の十分な改善につながらず、2週間延ばすことになりました。21日までとなれば宣言期間は70日以上です。昨年4月初めからの1度目の緊急事態宣言は1度延長したものの50日弱でした。前回宣言より長期にわたり国民生活への制約が続くことの影響の大きさは計り知れないものがあります。

 菅首相は、再延長に至ったことを陳謝し、再々延長にならないよう「全力で取り組む」決意を述べました。しかし、どのように感染を抑え込むのか、具体的な中身が見えません。なぜ2週間の延長なのか、その期間にどのような対策を講じるかなどについて、国民が納得できる踏み込んだ説明はありません。再延長を議論した専門家による政府の「基本的対処方針等諮問委員会」でも、2週間延長で十分なのかという疑問が出されました。科学的な根拠も明確でないままに、「2週間ありき」で決めたとなれば、あまりに無責任です。

 首相は2月初めに延長を決めた際、「もうひと踏ん張り」と国民に努力を求め、多くの国民は感染抑止のために協力しました。それでも再延長を余儀なくされました。菅政権のやり方に欠陥があったことは明らかです。対策の弱点を徹底的に検証し、反省を踏まえた打開策を講じなければ、失敗が繰り返されてしまいます。

 急がれるのは、検査の抜本的拡充、医療機関の減収補填(ほてん)、営業への十分な補償、雇用と賃金の保障など現場の切実な要求に政治が応えることです。ところが菅政権に、その基本的立場がありません。

 4日の参院予算委員会で日本共産党の田村智子政策委員長は、地域の医療が崩壊の危機に直面し苦闘している実態を示し、減収補填を拒む政府を追及しました。またコロナ禍で非正規雇用が激減する中、矛盾が集中している女性の貧困が深刻化している問題で政府の責任をただしました。しかし、首相らの答弁は、これまでの対策の枠から一歩も出ません。冷たい政治の転換が不可欠です。

大前提は国民からの信頼

 再延長を受けて、時短要請に協力しない店に対し、違反すると罰金を伴う「命令」を出す自治体の動きがあることは見過ごせません。強権的手法は、国民に対立と分断をもたらすだけで、感染対策の逆行にしかなりません。

 感染症対策の土台は、国民の理解と納得、政治への信頼です。与党議員の深夜会食や異常な官僚接待などで国民の政治への不信を広げる事態を招いた菅政権の政治姿勢が厳しく問われます。


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