2024年11月23日(土)
主張
規正法の再改定
企業献金禁止いつまで逃げる
自民党が、同党の政治改革本部で政治資金規正法の再改定案をまとめ、了承しました(21日)。6月の通常国会で公明党と強行した改定規正法と同様、裏金づくりの根源となった企業・団体献金の禁止に全く触れていません。政党が議員に渡し、使途不明の“闇金”と言われる「政策活動費」の扱いでも、非公開の余地を残すなど改革の名に値しない内容です。
企業や業界団体が自民党派閥の政治資金パーティー券を購入し、その収入から裏金がつくられていました。企業・団体献金の禁止こそ改革の「本丸」です。
■国民多数が求める
「共同」の世論調査(16、17両日実施)では規正法再改定で企業・団体献金を「禁止するべきだ」が67%と、「禁止の必要はない」26%を大きく上回ります。これは、10月の総選挙前から変わらず、4月の「朝日」調査では企業・団体献金が「利益誘導につながりかねないから、認めない方がいい」は79%に上りました。
石破茂首相は21日、「政治資金の問題についてわが党が率先して答えを出したい」と大見えを切りましたが、“答え”から逃げているのは自民党自身です。
日本共産党は30年前から企業・団体献金の弊害を訴え全面禁止法案を提出し続けてきました。その主張は政界を変え、自公以外の各党も企業・団体献金禁止を言うようになっています。総選挙での国民の審判を踏まえ、きっぱりと禁止に踏み込むべきです。
■自民案の“抜け道”
再改定の自民案は「政策活動費」について「法律上廃止し、党の支出の透明化を進める」としています。
「政策活動費」とは、もともと政治資金規正法に規定されたものではなく、自民党が議員に渡す“つかみ金”です。それでは外聞が悪いので「政策活動費」ともっともらしい名前をつけ、党幹部らに年十数億円も渡し支出の実態を隠してきました。「政策活動費の使途の公開義務はない」と言われていますが、本来、何に使ったか政治資金収支報告書に記載すべきものです。
自公は裏金問題を逆手にとって、6月に成立させた改定規正法の条文に「政策活動費」を新たに書き込み、合法化する改悪をしました。今回の自民案は国民の批判を受けて「法律上廃止」しますが、あわせて「外交上の秘密やプライバシーなど公表に配慮が必要な支出は、第三者による監査を行う」としています。これでは非公表の支出が温存され、別の名目で使途不明金をつくることができます。
“抜け道”はこれだけではありません。議員が政治資金・選挙関連の罪で起訴された場合、政党助成金を支給停止するとしますが、起訴された国会議員は無所属になるケースが大半です。その場合、政党助成金は議員個人には交付されず政党は受け取るので、党にとって痛くもかゆくもありません。外国人・法人のパーティー券購入を禁止するとしますが、2006年の政治資金規正法改定で企業は外資が50%超でも献金できることになっています。
裏金問題の真相解明ははなからやる気がなく、企業・団体献金禁止に背を向ける自民案に国民が納得しないのは明らかです。