2004年1月23日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=遠藤誠二】ブッシュ大統領が二十日におこなった一般教書演説は、民主党大統領候補やマスコミから手厳しい批判を浴びています。
クラーク候補(元北大西洋条約機構欧州連合軍最高司令官)はNBCテレビで、イラク戦争を開始したブッシュ政権を改めて批判しました。「イラク戦争が対テロ戦争の一部であるという主張には同意できない」「同時多発テロを起こした犯人とかかわりのない、米国にとって差し迫った脅威でない国を攻撃した理由を私は知らない」とのべ、イラク戦争そのものに反対する姿勢を鮮明にしました。
クシニチ候補(下院議員)は、景気をめぐり国民が深刻な状況におかれているのに、「必要のない戦争で一千五百五十億ドルも費やした」と語り、どんなことがあってもイラク戦争は正当化できないと強調しました。
民主党の候補者選びが始まった十九日のアイオワ州党員集会で勝利したケリー候補(上院議員)は、「この大統領は、職場や家庭でわれわれの経済がどうなっているのか見えていない。彼は特定の利益団体やロビイストにしか耳を貸さない」とコメントし、失業問題をはじめ経済問題で何もしてこなかったと、ブッシュ政権の政策を批判しました。
二十一日付のニューヨーク・タイムズ紙は、内政と外交に分けて一般教書演説に関する二本立ての社説を掲載しました。そのなかで、イラク戦争を正当化したブッシュ演説を「一方に偏した主張」だと表現し、重要な欧州同盟国からの離反を招いたことなどブッシュ政権が抱える外交上の問題に目をつぶったと指摘しました。内政問題では「富裕層のための大型減税は(米国が抱える)諸問題(解決)のための国家のお金を盗んだ」と主張しています。
ブッシュ大統領は二十一日、オハイオ州トレドを訪問しました。同州ではブッシュ政権になって、失業率が3・9%から5・7%に上がりました。大統領訪問にあわせ市民が「仕事をよこせ」「うそつきブッシュ」「フセインは去った 次はブッシュ、おまえだ」などのプラカードを掲げ、抗議のデモ行進しました。